ROC(炭素利益率)ランキング/排出量取引開始でさらに強くなる会社はここだ!--1位アステラス、2位武田薬品…
2位は武田薬品工業(1055.1)。同社は74年に省エネルギー対策委員会を設立、92年に「環境に関する基本原則」を策定するなど早くから環境活動に取り組んできた。10年度までに05年度比で排出量40%削減という目標を掲げ、すでに08年度で35%を削減。目標達成は目前となっている。
3位はJT(601.0)。同社は、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001を国内外すべての生産事業所で取得するなど、環境に対する意識は高い。以下、4位大東建託(569.9)、5位NTTドコモ(492.4)、6位KDDI(403.2)と続く。
これら上位企業に共通するのは高い収益力とともに、トップコミットメントのもと、環境負荷削減目標を掲げ、さらなる削減に積極的に取り組む姿勢だ。排出量取引制度では、排出量が基準値を上回れば排出権を購入しなければならない。一方でそれを下回る水準まで削減できれば、逆に排出権を販売することが可能となる。ランキング上位企業は排出量取引開始が負担増でなく、利益を伸ばすチャンスになるかもしれない。
この指標には問題点もある。温室効果ガス排出量は業種により大きく異なる。鉄鋼や電力会社などは排出量が企業規模に対し総じて多い。たとえば、電気機器で1位のキヤノンのROC321.1に対して、電力1位の四国電力はわずか5.2。このように異業種での比較には注意が必要だ。
今後、企業が環境への取り組みをますます求められることは明らか。環境データを使った指標の一つとしてROCに注目が集まることは間違いなさそうだ。
(森智彦 =東洋経済 財務・企業評価チーム)
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