「この人、話しにくいなぁ」は相手に伝染している 「雑談はしなくていい」と言える心理学的理由

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雑談にプレッシャーや気まずさを感じていませんか? その気持ち、相手にも伝わっているかもしれません(写真:mits/PIXTA)
雑談に苦い思い出がある人は少なくない。接点の少ない人と2人きりになり、話題を出しても会話が続かなくて気まずい……。このような人は「自分は雑談が苦手」と思っている一方で、「雑談をしなければ」とプレッシャーを感じている。この悩みに対して、「雑談は無理にしなくていい」と回答するのは『ストレス0の雑談 「人と話すのが疲れる」がなくなる』を上梓した、精神科医・産業医の井上智介氏である。その理由を同氏に聞いた。

あなたのストレスは「雑談の誤解」が生みだしている

私は精神科医や産業医の立場で、多くの人の悩みを聞いてきました。その中でも、次のような相談をよくいただきます。

「どこの部署に異動しても、会話が続かないから、うまくなじめず職場に居場所がありません」

「営業の仕事で、盛り上げようと雑談をすると、いつもとんでもない空気になって、仕事がストレスです」

これらの人に共通しているのは、「雑談が苦手」と思っていることです。

あなたも、初対面の人と会話を始めたものの、二言くらいで終了してしまって、そのあとに沈黙が続いたことがあるのではないでしょうか。通勤中に接点が少ない先輩社員と駅で出会ってしまい、会社に到着するまで、気まずい雰囲気だった経験もあるのではないでしょうか。

このような、知り合いと2人きりになる場面に遭遇したとき、あなたは無意識に「雑談をしなければ」と考えていたのだと思います。

実際、よく会社員の方から「エレベーターで、普段あまり接点のない会社の人と会ったとき、どのような話をすればいいですか?」という質問をされます。

私の回答は、「雑談は無理にしなくていい」ということです。

あなたの内側に「なんか口では表現しにくいけど、話しにくいなぁ」という気持ちがあるときは、無理しないほうがいいのです。その理由は、心理学の観点から考えると明らかです。

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