フェイスブック「トランプ問題」責任逃れのツケ 自社「最高裁」が放ったブーメラン裁定の意味

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フェイスブックは5月5日の声明で「前例のない事態から当社は異例の措置を講じなければならなくなった。そうした事情が監視委員会に認められてうれしく思う」と述べている。

だが、トランプのアカウントをこれからどうするのかという大問題に監視委員会が決着をつけるのを拒んだことで、ザッカーバーグは苦しい立場に立たされた。言論の自由をめぐる世界的な論争の中心から逃れ、27億人のフェイスブックユーザーの投稿内容に対する判断の責任を監視委員会に委ねるというザッカーバーグの数年来のもくろみは水泡に帰そうとしている。

監視委設立の狙い

ザッカーバーグは当初、「フェイスブック最高裁」のアイデアを会社のガバナンスをさらに民主的なものにする手段として売り込んでいた。さまざまな分野の専門家で構成される独立組織を設置し、そこにユーザーからの異議申し立てを審理する権限を与えるという案だ。

ザッカーバーグは2018年、デジタルメディアVoxのエズラ・クラインのインタビューにこう語っている。「民主的なシステムをうまく機能させるには、異議申し立ての手段が必要だと思う」。

監視委員会の立ち上げには別の狙いも込められていた。問題コンテンツの扱いをめぐっては、フェイスブックではザッカーバーグに最終的な判断を仰ぐ形になっていた。例えば、極右の陰謀論者アレックス・ジョーンズが運営する「インフォウォーズ」の関連アカウントを排除するとした2018年の決定にもザッカーバーグが直接関わっている。

だが、こうした決定は世の中の注目度が高く、猛烈な反発を受けることも少なくなかった。そこで登場したのが監視委員会だ。想定どおり機能すれば、コンテンツの扱いという激しく物議を醸す判断の責任は監視委員会が負うことになる。要するに、ザッカーバーグをはじめとするフェイスブックの審査チームを批判から守る盾として監視委員会を利用する算段だったのだ。

ザッカーバーグが最も避けたがっている論争がトランプがらみであることは容易に想像がつく。トランプはフェイスブックを利用して2016年の大統領選挙に勝利して以来、フェイスブックを苦しめ続けてきた。

ルール違反を繰り返すトランプは、俺を罰せるものなら罰してみろとフェイスブック幹部を挑発。そして実際にフェイスブックが処罰を下すと、今度はトランプ支持の共和党員が猛り狂ってフェイスブックの「政治的な動機に基づく検閲」をやり玉に挙げるようになった。

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