スタバコラボ店舗の「マリトッツォ」超話題のワケ 無名の「プリンチ」がなぜ単独で開店できたのか
また、ヘッドシェフである松田氏の目によってイタリアのベーカリーの製法が守られているということも大きなポイントだ。日本の専門学校でパンの技術を学び、有名店などでも経験を積んだ松田氏だが、イタリアへ世界大会で訪れたときに、パンの製法が大きく違うことに驚いたという。
生地を膨らませる発酵種の種類も数多い。例えば大きな円形の表面に「PRINCI」と入れた、文字どおり看板商品のプリンチ ローフは「サワードゥ」という酸味がある発酵種を使ったパン。代官山のショップのショーケースにはその他、馴染みのない形、名称のさまざまなパンが並んでおり、外国の市場のような雰囲気を醸し出している。
ではいよいよ、今回のメインテーマであるマリトッツォについて深掘りしていこう。
「第2のティラミスにしたい」
まずは、マリトッツォを販売した理由について聞いた。
実は松田氏は、「マリトッツォを第2のティラミスにしたい」という意気込みを込めて売り出した。
なぜなら、前述のように朝食として、スイーツとして、イタリア人にとって馴染みのある存在のため。また中に指輪を入れて婚約者に贈るといういにしえからの風習があるそうで、こうした歴史背景やストーリーも、イタリアの伝統や文化をわかりやすく伝えてくれる。
さらに、日本には朝食で甘いものを食べる習慣はあまり根付いていないが、イタリアでは甘いパンとコーヒーは朝食の定番。イタリアの食べ物とともに文化も紹介したいという、プリンチのコンセプトにぴったりのパンだったわけだ。
このように、満を持して生み出されたプリンチのマリトッツォ。ほかの店のものとどう違うのだろうか。
「一番の特徴は何といってもパン」と松田氏は説明する。
小麦粉を焼きあげた生地と、間に挟まったクリームは別の素材からつくられており、もともとは食感がまったく異なるものだ。そのため、いかに両者を違和感なくなじませるかが大切になってくる。
食感が違い過ぎる場合どうなるか。サンドしたものの外側が硬いと一口ではかみ切れず、やわらかい中身が押されて、間からはみ出てくる。口の周囲に付着するのはまだしも、下に落ちてしまうなど、悲しい結果を呼ぶのだ。
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