ギリシャ問題は金融危機にはならない
ギリシャ政府の財政破綻問題が、大きな影響を金融市場に与えている。ギリシャ問題は、米国サブプライムと同じような広がりを見せる可能性があり、2つの問題は非常に似てきた、という解釈が流布し始めている。
この類似性とは何か。米国サブプライム問題は、米国国内の問題であるが、投資家は世界に広がっており、被害は世界に広がった。ギリシャの国債は、世界中の機関投資家が保有しており、ギリシャ政府へ融資している欧州の銀行も多い。したがって、ギリシャ財政破綻が世界の金融市場を混乱に陥れるという論理で、米国サブプライムと同じだということである。
さらに極端な人々は、リーマンショックは単なる一企業のショックだったが、今回は国レベルの話であり、またギリシャからポルトガル、スペイン、イタリアと広がるおそれがあり、巨大なリーマンショックともいえるとまで言っている。
本質的に違うリーマン・ショックとギリシャ危機
しかし私は、金融危機として広がるとは思っていない。なぜなら、2つの問題は、3つの意味で異なっており、類似性は本質的にはないと考えているからである。
第一に、ギリシャ問題の本質は、バブル崩壊ではなく、バブルの後始末のツケの処理だ。
バブルはすでに崩壊した。そして、その打撃を和らげるために、各国は財政出動をした。しかし、それは持続不可能であった。バブルで膨らんだ分の富は、快楽のために消費されてしまって、それは戻ってこないから、その無駄遣いの分の負担は社会に残る。
この負担が一気のショックという形で社会に押し寄せてくるのを和らげることには成功した。金融危機から金融システム崩壊、実体経済崩壊の連鎖を、政府財政の負担により回避したのだ。しかし、それは和らげただけだから、敗戦処理はしないといけない。
政府の財政がかぶった負担は膨らみ続けるから、金融破綻が政府財政破綻になっただけのことで、政府の財政処理は、これから各国で出てくる。これは当たり前のことだ。