ギリシャ問題は金融危機にはならない

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 となると、ギリシャ問題はそれほど大騒ぎしなくていいのか、ということになるが、それはそうではない。

リスクテイク・バブルの崩壊

米国サブプライムとの共通点は、両者の問題が世界経済の本質的な危機の一例にすぎないことである。
 
 米国サブプライムは、それ自体は、大きなバブルであったが、世界を覆いつくすようなバブルではなかった。サブプライムバブルは一例に過ぎない。世界金融市場でありとあらゆるリスク資産について、バブルが起きており、リスク資産に投資することがブームとなった、リスクテイクバブルであったのだ。
 
 だから、米国サブプライムの直接の影響だけではたいした問題でなかった。だからこそ、問題の処理が遅れたというのも事実ではあるが、問題をサブプライムとしてとらえるとたいした問題でなく、世界金融市場を救うためにバブル退治をするほどではなかった。

一方、リスクテイクバブルが世界を覆いつくしていたと考えると、これを処理することは世界金融市場の崩壊であったから、それは大きすぎて、処理できない問題となってしまっていた。
 
 この結果、いずれにせよ、処理に踏み切ることはできず、ある意味、金融機関がtoo big to fail だったのではなく、世界を覆ったバブルがtoo big to get burst だったのだ。

一方、ギリシャ問題は、世界的なリスクテイクバブル崩壊のツケが政府部門にもたらされ、それを処理しなくてはいけないという世界各国共通の問題が破綻しかけてきた一例である。

その意味では、米国サブプライムがリスクテイクバブルの一例だったことと同じあり、すべての政府関係者がギリシャ問題はギリシャに終わらず、ほかの欧州各国の問題であり、本質的には米国や日本も同じ問題を抱えていることを認識している。

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