ギリシャ問題は金融危機にはならない
つまり、多くのプレーヤーが予想していたショックなので、ショックはショックではなく、混乱に陥ることはないだろう。そして、バブル崩壊ではないから、淡々と処理され、予想された敗戦処理が続くので、混乱は起きないはずだ。これが金融危機と財政危機の違いだ。
第二に、これと関連するが、今回はプレーヤーが限られており、処理はしやすいということだ。プレーヤーは各国政府、EU、そしてIMF であり、不特定多数の投資家たちではない。これはある意味では、LTCMの破綻のときと同じで、顔の見える交渉だから、出口が必ずある交渉になり、処理は必ず行われる。だから、予想できない混乱は起きない。
これも金融危機の場合は、広がりが大きく、迅速で、かつ匿名性の高い無数の投資家たちが相手なので、交渉というスタイルにはならない。収束できるかどうかは、つねに不確実で、少しのボタンの掛け違いが、政府と市場センチメントの間に起こると、崩壊する恐れがある。
だから、金融危機においては、政府側はつねに市場に譲歩しなければならないのだが、財政危機の場合は、タイムリミットが明確で、そこまでの時間は確保されており、交渉相手も明確で、紛れが少ない。
したがって、リーマンショックやパリバショックと違って、予想されたことが予想されたスピード、スケジュールで起きているだけのことなので、各国政府の交渉となり、淡々と処理されることになろう。そして、時間がかかれば効率は悪くなるが、それにより一気に崩壊するわけでもないので、コントロールされたプロセスでの処理が可能になろう。
ギリシャ経済の未来にとっては、処理の方法によっては、経済が復活するまでの時間、プロセスが大きく影響を受けるため、処理方法は大事なのであるが、ギリシャ問題がポルトガルやスペインに広がったとしても、国際金融市場や世界経済という意味では破綻に結びつく問題ではない。