ギリシャ問題は金融危機にはならない
だから、ギリシャがギリシャに終わらず、欧州各国に飛び火して、それが財政問題からもう一度金融危機に戻って世界金融市場がパニックになる、という説が流布している。
確かにこのストーリーは恐怖であるし、実際に金融市場がそのように反応し始めれば、ある程度はそのような様相を呈することになるだろう。
しかし、このストーリーが続かないのは、今回の問題がユーロ圏内で起きていることによる。今回はユーロの問題なのだ。もし、ギリシャがユーロに入っていなければ、アイスランドと同様に、一気に金融危機に陥り、問題はショックと共に処理されていっただろう。
金融危機などでは収まらないギリシャ危機
今回は違う。ユーロ圏内での話なのだ。だから、ユーロの下落が問題になっているが、ユーロは対ドルで50%下落したわけではない。ユーロを使わない独自通貨国が、リーマンショック後、通貨価値が半分に下落し、対外債務に対する国内資産価値が通貨で半分、さらに資産の暴落で半分、ドルまたはユーロ換算では4分の1となり、経済が破綻したのとは異なる。
通貨の下落の問題はユーロで薄められている。だから、一気の経済破綻はない。国家財政が破綻するだけで、経済の破綻はその次だし、ユーロは健在だ。そして、だからこそ、今回のギリシャ問題は問題なのである。
つまり、金融危機でなく財政問題であり、これは政府の問題であり、国内およびEUの政治問題であることが今回の問題だ。
国内政治問題は厄介だ。しかし、時間がないといっても、資金調達の期限であり、金融危機のときのように、一瞬で崩壊に結び付くわけでなく、明確なタイムリミットがある。だから、そこへ向けての交渉となる。