「GWずっと家にいろ」が到底不可能な3つの理由 「お願い」ばかりでは人々はもう付いてこない

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私のもとにも、「子どもは家にいるとずっとゲームをしてしまいます。さすがに毎日ゲームばかりやらせていたらよくないと思うのですが、どうしたらいいでしょうか?」という問い合わせがありました。

自主的な感染対策をしたうえで、人の少ないところへの外出は責められるものではないのかもしれません。たとえば、「自家用車でドライブし、食事は持参したものかテイクアウトで済ませる」という形なら罪悪感を抱く必要はない気がします。ただ、それらで子どものストレスを軽減できるかはわかりませんし、できなければ親のストレスはますます増えてしまうでしょう。

ふだんより親子で過ごす時間の多い連休は、必然的にコミュニケーションの頻度も増えるだけに、互いにストレスを抱えた状態が続くとケンカにつながってしまっても不思議ではないのです。

家族層と独身層が批判し合う分断

また、ストレス解消のために家族で外出する人々が増えはじめると、そんな姿を見た独身層の人々が「ステイホームなんてやっていられるか」という気持ちになりやすく、「友人や恋人と外出しよう」と考えるのも当然でしょう。重苦しいムードが続き、ストレスを抱えた人の多い現在は、立場の異なる人を尊重し、「ともにステイホームしましょう」という気持ちになるのは難しく、「あいつらばかりずるい」と互いに批判しがちなのです。

ここまで、「テレビやネットで見る情報が外出したくなるものばかり」「食料などの買い出しで外出したとき気持ちが揺らぎやすい」「子どもを家にとどめておくのは難しい」というステイホームが難しい3つの理由を挙げてきました。

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本当に人々をステイホームさせたいのなら、「政治家やメディアの出演者たちがゴールデンウィーク中の外出を避けて家から発信する」「ステイホームできた人に何らかのインセンティブをつける」「子どもたちが喜ぶコンテンツを年齢別で放送・配信する」などの誰もが思いつくようなわかりやすい対策を実践するべきではないでしょうか。

長期連休だからこそ、同じような「お願い」ばかりでは、もう人々の感情をコントロールできない段階に来ているのです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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