法を知り身を守る「同一労働同一賃金」4つの肝 パートタイム・有期雇用労働法が中小企業にも

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均等待遇

わかりやすく「賃金」を例にすれば、「同じであれば、同じ賃金を支払わなければいけない」ということです。何が「同じ」なのかというと、「職務の内容(業務の内容+責任の程度)」と「職務の内容・配置変更の範囲(人材活用の仕組み)」が同じ場合です。

均衡待遇

これも「賃金」を例にすれば、「違いがあるのであれば、違いに応じた賃金を支払わなければならない」ということです。

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ここでいう「違い」とは、上記の「職務の内容(業務の内容+責任の程度)」と「職務の内容・配置変更の範囲(人材活用の仕組み)」に、「そのほかの事情」を加えた3つの要素のうち、個々の待遇について、その待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情だけを考慮したうえでの違いということになります。

たとえば、介護施設の看護職に支給されるナースコール手当(夜勤のナースコール対応1回につき○○円支給)が問題となる場合、「夜勤のナースコール対応業務への従事の有無」が考慮事情(その他の事情)として考えられます。

なお、「その他の事情」は、上記の「職務の内容」と「職務の内容・配置変更の範囲」以外の事情を指し、個々の状況に合わせて、その都度検討されます。行政通達※では「職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、労使交渉の経緯」が例として挙げられています。

※通達(つうたつ)……法令を解釈するうえでの疑問点や注意点を記載したもの。厚生労働省HPに一部公開されている。各種法令の優劣関係は「憲法 > 条約 > 法律 > 政令 > 省令 > 通達・指針(ガイドライン)・告示」。通達以下は法令ではないため、法的拘束力はない。

正社員優遇の時代を終わらせる

日本では長い間、長期雇用を前提に解雇規制が厳しい正社員が優遇される状態が続いてきました。

これを是正するため、今回の法改正が行われたわけですが、働き方が多様化するなか、日本の労働環境がどう変わっていくのか、自分の会社の状況はルールにかなっているのか、雇う人(使用者)はもちろん、働く人(労働者)自身が意識していくことが大切です。

向井 蘭 杜若経営法律事務所所属・経営法曹会議会員

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むかい らん / Ran Mukai

1975年山形県生まれ。東北大学法学部卒業。2003年に弁護士登録。企業法務を専門とし、解雇、雇止め、未払い残業代、団体交渉、労災など、使用者側の労働事件を数多く取り扱う。企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務めるほか、『企業実務』(日本実業出版社)、『ビジネスガイド』(日本法令)、『労政時報』(労務行政研究所)など数多くの労働関連紙誌に寄稿。共著に『時間外労働と、残業代請求をめぐる諸問題』(経営書院)、単著に、『社長は労働法をこう使え! 』『管理職のためのハラスメント予防&対応ブック 』(以上、ダイヤモンド社)、『最新版 労働法のしくみと仕事がわかる本』(日本実業出版社)、などがある。

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