「今の新人はかわいそう」と思っている人の誤解 変わらない会社に優秀な人材は嫌気がさす必然

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リモートワークが普及している今、チームワークにも新しい形が必要になる(写真:jessie/PIXTA)
新入社員が入社してはや1カ月が過ぎようとしています。昨年同様、新人研修はオンライン、配属後もリモートワークという会社も珍しくないでしょう。
コロナ前に戻れるか戻れないか、先が読めない今、「新しいチームビルディング」について、立教大学でリーダーシップ開発プログラムの主査を務め、リモート時代の働き方への示唆となる『チームワーキング』を出版するなど、人材・組織開発の専門家として積極的に発信を行う中原淳教授が解説します。

今年の新人に「コロナ禍とリモートワークで大変だね」と声をかければ「ええ」と答えるでしょう。しかしそれは、新人なりに“空気を読んだ”対応かもしれません。

会社説明会、採用面接、インターン、内定式、それらすべてがオンライン。それらは、「コロナ以前の当たり前」を知らない新人たちからすれば「現実」そのもの。過去との比較がないので、リモートの方が当たり前なのです。実際、去年就職した私の教え子たちからは、とくに不満も聞きません。

むしろ「コロナ以前の当たり前」を知っている先輩社員のほうが、対面に戻りたいのに戻れない気持ちを新人に投影しているのかもしれず、新人がそれを察して相手に合わせている可能性もあります。「リモートワークで大変だね」と声をかける人々が新人に「自分はかわいそうなのかも」と刷り込んでいるだけかもしれません。

長期的にはネガティブな影響も予想される

もちろん、会社での経験が浅い新人では対処できない問題もあります。

企業の人事担当の方々からは、精神的な問題を訴える人の割合が増えているとも聞きます。その原因は孤独と働きすぎでしょう。リモート化で雑談がしにくくなれば、悩みを抱え込みやすくなりますし、期待値を明確にされないまま在宅勤務をすれば、夜中や休日も仕事をしてしまう人も出ます。

オフィスに行き、上司や先輩や同期と顔を突き合わせる機会がなく、会社への帰属意識が弱まったという調査もあり、長期的には離職率が高まるでしょう。

先輩の様子を見て学ぶことも、移動や休憩の合間のちょっとした指導も難しくなります。コミュニケーションが自然発生する機会がなくなり、部署の同僚や他部門との相互理解や情報共有ができなければ、生産性が下がります。創造性も低下するかもしれません。

しかし、これらはリモート化が原因なのでしょうか。

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