「今の新人はかわいそう」と思っている人の誤解 変わらない会社に優秀な人材は嫌気がさす必然

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現実を前向きに捉え直せば新たな可能性も見えてきます。最後に、そのためのポイントを3つ提案します。

「大変」を捉え直す3つのポイント

1)いい面に目を向ける

よくよく考えてみれば、リモート化による恩恵もたくさんあります。移動や通勤の時間が減り、人生を充実させるのに充てる時間も増えました。対人関係に起因する問題などは、顔を突き合わせなくて済む分、むしろ減っています。

そういったポジティブな面に目を向ければ、現状を前向きに捉え直すこともできるでしょう。

2)できることの積み重ねでいい

リモート最適化は制度やプロセスやシステムを変える大がかりなことでなくてもいいのです。前に述べたように、会議の前に雑談の時間を設け、会議後に個別フォローするなど、個人の工夫で何とかなることも多いです。

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学生が見ているのは、完璧かどうかではなく、努力をしているかどうかです。ある卒業生は、企業の人事に「全力で頑張りましたが不十分かもしれないので、協力してください」と言われ、参加意欲が上がったそうです。

3)まず実践してみよう

例えば、リモートになれば会議のファシリテーションも変わります。まず大事なのは感情のケアで、各人に話を振り、発言に対するリアクションを促して、全員の参加感を引き出すことと、安心して発言できるようにルールを定めて徹底させることです。

ただしそういったノウハウは、知っているからといってできるとは限りません。まずはやってみて、そこから体得していくしかありません。難しく考えず、まずは実践してみましょう。

(構成:高橋龍征)

中原 淳 立教大学経営学部教授

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なかはら じゅん / Jun Nakahara

1975年北海道生まれ。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・成長・コミュニケーションについて研究。立教大学経営学部教授。同大学ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)主査、リーダーシップ研究所副所長。著書に、『経営学習論』(東京大学出版会)、『会社の中はジレンマだらけ』『育児は仕事の役に立つ』(ともに共著、光文社新書)など多数。

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