茨城の老舗カフェがコロナに全然負けてない訳 サザコーヒーは次々にイベントを仕掛ける

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2021年3月の「三大ゲイシャまつり」ではコーヒー豆が30%オフに。鈴木誉志男会長と鈴木太郎社長が「コーヒー教室」を行い、タダコーヒーを振る舞った(写真:サザコーヒーホールディングス)

なぜ、V字回復できたのか。筆者は次の3つが要因だと考える。

(1) 長年の常連客に支えられており、顧客がいち早く戻った
(2) 新商品開発に積極的で、ユニークなイベントでも集客できる
(3) 常連客にも一見客にも惜しみなく振る舞う“タダコーヒー”

それぞれ簡単に説明したい。(1)は特に本店は、さまざまな世代のお客に支持される。中には高校時代から通い続けて半世紀という人もいる。太郎氏の両親で創業者の鈴木誉志男氏(会長)と美知子氏(取締役)夫妻は、現在も混雑するとカウンターで皿を洗う。本店の客席数は多く、外にはテラス席もあるが、「昭和の喫茶店」の雰囲気も残すのだ。

(2)は、コロナ禍でも「ラテアートコーヒーゼリー」や「レインボーミルクレープ」といった商品を開発し、コーヒーでは「渋沢栄一 仏蘭西珈琲物語」という商品が評判だ。

(3)は、イベントや新商品お披露目には、お客に無料でコーヒーやスイーツを提供する。「サザコーヒーならぬタダコーヒー」として知られ、楽しみにしている人も多い。

うまい材料×うまい技術=もっと美味しい商品に

前述した「レインボーミルクレープ」は、その名の通り、天然色素でつくった層状の虹色クレープとして人気だ。企画したのは鈴木社長で、その意図をこう語る。

「いつも『うまい材料×うまい技術=もっと美味しい商品になる』と思っています。外出自粛が続き、気が滅入る時期だからこそ、レインボーカラーで楽しめる商品にしたいと考えました。北海道・十勝産の小麦粉を使い、クレープを焼くロボットも購入。天然色素をきれいに出す技術や重ねる技術などは、ケーキ工房の職人が調整して商品にしています」

見た目も鮮やかな「レインボーミルクレープ」(写真:サザコーヒーホールディングス)

ひらめき型の社長で、巣ごもり需要向けに通販用スイーツの冷凍流通も考案した。商品開発では自らも試作品をつくり、味を徹底追求する。それに向き合うスタッフの対応力もあっての新商品といえよう。

次ページ史実を踏まえて開発した「渋沢栄一のコーヒー」
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