茨城の老舗カフェがコロナに全然負けてない訳 サザコーヒーは次々にイベントを仕掛ける

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茨城県ひたちなか市にある「サザコーヒー本店」。焙煎工場やギャラリーも併設する(筆者撮影)

すでに多くのメディアで報道されているように、コロナ禍で外食産業は大打撃を受けた。喫茶業界では最強といわれる「スターバックス」も例外ではない。

店舗の休業や営業時間短縮の影響もあり、2020年度のスターバックス コーヒー ジャパンの業績は最終赤字に転落した。1996年に日本1号店を開業以来、業績を拡大してきた同社にとって、2002年度(同年も赤字決算)以来の厳しい年となった。2020年も各地で積極的に店舗を開業した底力はあるが、単年度の業績は影響を受けたのだ。

ところで、国内で1600店以上を展開するスタバに対して、店舗数で1%にも満たない個人チェーン店がある。「サザコーヒー」(本店は茨城県ひたちなか市。店舗数は15店)だ。

創業は1969年。開業して半世紀を超えた老舗喫茶店で、同社もコロナ禍で大きな影響を受けた。それでも「2020年の業績は黒字を確保した」という。

首都圏で展開する店や商業施設内の店が、休業や営業時間短縮を行いながら、なぜ黒字化できたのか。今回は中小企業のモノづくりとコトづくりの視点で考察したい。

茨城の食文化も紹介していく

4月16日の金曜日。サザコーヒー本店を訪れると、店の駐車場に「那珂川 天然鮎」を掲げた移動車が停まっていた。毎週第1金曜日と第3金曜日に行う「鮎まつり」だ。これまで筑波大学キャンパス内の店でも販売し、一般客以外に大学関係者も立ち寄ってきた。

「茨城県と栃木県にまたがる那珂川は『天然鮎がのぼる川』として知られ、鮎の漁獲高でも長年日本一です。でも釣り人以外の一般の人にはなじみが薄い。カフェ×鮎は異色でしょうが、茨城のコーヒー屋として、地元の食文化も紹介していきたいのです」

2代目の鈴木太郎社長はこう語る。一般社団法人・日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)の理事兼コーヒーブリュワーズ委員会の委員長も務め、世界各国のコーヒーに精通する鈴木氏は、後述するが、さまざまな仕掛けでも知られる。

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