茨城の老舗カフェがコロナに全然負けてない訳 サザコーヒーは次々にイベントを仕掛ける

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コーヒーやスイーツへの思いを情熱的に語る鈴木太郎社長。撮影のためマスクを外しています(筆者撮影)

仕事柄、さまざまなカフェや喫茶店を訪れてきたが、サザ本店ほど目の前でコーヒー豆が売れる店は珍しい。巣ごもり時期でも自宅消費用に売れた。取材日に目立っていたのが「渋沢栄一 仏蘭西珈琲物語」(200グラムのコーヒー豆は税込み1500円)だった。「日本資本主義の父」として知られる、渋沢にちなんだ商品を開発したのは、鈴木誉志男会長だ。

「明治以降の活躍で知られる渋沢栄一ですが、幕末までは徳川慶喜に仕えた藩士。慶喜の弟で最後の水戸藩主だった昭武に随行して、1867年のパリ万国博覧会にも出かけています。

フランスなどの欧州歴訪中にコーヒーを飲んでいたことが日記にも記され、それをもとに当時の食生活を調べ始めました。この商品の豆は、当時のフランスで使われていたエチオピアとイエメン産のモカを用い、深煎りのフレンチローストに仕上げています」(鈴木会長)

NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公や、2024年度に予定される新一万円札の顔としても脚光を浴びる渋沢栄一に着目した先見性だが、同社には成功体験がある。2004年に開発した「徳川将軍珈琲」(同1600円)だ。こちらは慶喜のひ孫でコーヒー通の徳川慶朝氏(故人)と共に史実を基に味を再現し、豆はマンデリンを使用。今では看板商品となった。

こうした商品を開発できるのは鈴木会長の探求心に加えて、人脈もある。慶喜や昭武に関する資料を保管する千葉県松戸市の戸定歴史館の協力も欠かせないのだ。

売れゆき好調な「渋沢栄一 仏蘭西珈琲物語」のコーヒー豆(右上、筆者撮影)

「ゲイシャ」のイベントに招いた「芸者」

2020年11月14日、JR東京駅前の商業施設「KITTE(キッテ)」内のサザコーヒーで、「パナマゲイシャまつり2020」というイベントが開催された。

この日のイベントに登壇したのは、カルロス・ペレ駐日パナマ大使、パナマの生産者、さらに新橋・金田中の芸者3人だった。モノづくりでは本物を追求するが、イベントなどのコトづくりでは、周囲が驚くような仕掛けを行う。

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