まだYouTubeを軽く見る人が知らない地殻変動 放送作家・鈴木おさむさんがズバリ分析
「YouTubeも各チャンネルがメディアとして機能していますよね。とくに『THE FIRST TAKE』が、もたらした変化は大きいです。コロナ禍で、コンサートができない中で、とてつもない速度で音楽業界を変えました。
サブスクリプションサービスが台頭したあとも、業界関係者はなんだかんだでオリコンチャートを気にして、CD売り上げを強く意識していたけれど、それもいよいよ変わるんじゃないでしょうか。『THE FIRST TAKE』からヒット曲も生まれましたし、企画勝ちですよね」
これまではインフルエンサーや芸能人など、すでにファンを抱えているYouTuberが強いとされてきたが、鈴木氏は生活に密着した企画が伸びるとも分析する。
「40〜50代がどう思うかはわからないですけど、20〜30代にとっては、YouTubeやInstagramは『必要なものを探す場所』になっていることも多い。『髪型どうしよう?』と悩んだら、まず検索して、美容師インフルエンサーの動画を観て、ヘアスタイルを決める。なんとなく眺めるものではなく、生活の中に入り込んでるものも多い。
雑誌に代わる存在で、目的視聴になっていますよね。ちょっと前ならクックパッドを検索していたけれど、YouTubeで動画検索したほうが手順がわかりやすいし、早い。カタログのようにザッピングできるのも魅力です」
視聴率が指標だった結果
テレビの世界の指標は、ビデオリサーチの世帯視聴率だった。世帯視聴率を上げるためには、F3層(50歳以上の女性)がカギなので、必然的に制作サイドもそこを狙うことになったという。
「テレビは巨大メディアなのに、データが視聴率しかありませんでした。僕もずっと疑問だったし、『せめて、個人視聴率を重視して、テレビのターゲット年齢を下げられないか?』と思っていたんですが、特性としては仕方なかったんです。
2000年代以降、インターネットが若年層の間でどんどん盛り上がっていったのに、テレビではハイターゲットの番組ばかりが増えていく。そのうち、『ネットならターゲットを明確にしてCMを打てる』という考えが広まってきました」
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