まだYouTubeを軽く見る人が知らない地殻変動 放送作家・鈴木おさむさんがズバリ分析

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「YouTubeも各チャンネルがメディアとして機能していますよね。とくに『THE FIRST TAKE』が、もたらした変化は大きいです。コロナ禍で、コンサートができない中で、とてつもない速度で音楽業界を変えました。

鈴木おさむ●1972年生まれ。千葉県千倉町出身。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。バラエティーを中心に多くのヒット番組の構成を担当。映画・ドラマの脚本や舞台の作演出、小説の執筆等さまざまなジャンルで活躍。2002年10月には、交際期間0日で森三中の大島美幸さんと結婚。「『いい夫婦の日』パートナー・オブ・ザ・イヤー 2009」受賞、第9回ペアレンティングアワード カップル部門 受賞

サブスクリプションサービスが台頭したあとも、業界関係者はなんだかんだでオリコンチャートを気にして、CD売り上げを強く意識していたけれど、それもいよいよ変わるんじゃないでしょうか。『THE FIRST TAKE』からヒット曲も生まれましたし、企画勝ちですよね」

これまではインフルエンサーや芸能人など、すでにファンを抱えているYouTuberが強いとされてきたが、鈴木氏は生活に密着した企画が伸びるとも分析する。

「40〜50代がどう思うかはわからないですけど、20〜30代にとっては、YouTubeやInstagramは『必要なものを探す場所』になっていることも多い。『髪型どうしよう?』と悩んだら、まず検索して、美容師インフルエンサーの動画を観て、ヘアスタイルを決める。なんとなく眺めるものではなく、生活の中に入り込んでるものも多い。

雑誌に代わる存在で、目的視聴になっていますよね。ちょっと前ならクックパッドを検索していたけれど、YouTubeで動画検索したほうが手順がわかりやすいし、早い。カタログのようにザッピングできるのも魅力です」

視聴率が指標だった結果

テレビの世界の指標は、ビデオリサーチの世帯視聴率だった。世帯視聴率を上げるためには、F3層(50歳以上の女性)がカギなので、必然的に制作サイドもそこを狙うことになったという。

「テレビは巨大メディアなのに、データが視聴率しかありませんでした。僕もずっと疑問だったし、『せめて、個人視聴率を重視して、テレビのターゲット年齢を下げられないか?』と思っていたんですが、特性としては仕方なかったんです。

2000年代以降、インターネットが若年層の間でどんどん盛り上がっていったのに、テレビではハイターゲットの番組ばかりが増えていく。そのうち、『ネットならターゲットを明確にしてCMを打てる』という考えが広まってきました」

次ページテレビ局はふんばりどころ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事