経営幹部から「声がかかる」管理職は何が違うか 「雇用大激変時代」でも生き残る管理職の条件

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では、個人名で勝負できる管理職とそうでない管理職の違いは何でしょうか? それは、次の問いに即答できるかどうかです。

「あなたの「売り」をひと言でアピールしてください」

「自動運転用センサーの専門家」「資産運用法務の専門家」「食品分野のBtoCマーケティングのスペシャリスト」などのように、○○の専門家、○○のスペシャリストという表現で自分をアピールできる言葉を定義してみます。

この問いに迷わず即答できる人は個人名で勝負できる人です。もちろん「自称」ではなく、組織内で通用するものであることが前提です。

個人名と「売り」のセットで人材価値を認知させる

さらに、その「売り」が所属する組織内だけで通用するものか、それとも組織を越えて会社内で広く通用するものか。さらに、会社の外の業界内で通用するものかどうか。これで大まかな自分の市場価値を推測することができます。

このときに注意すべき点は、所属企業や役職などの肩書きをすべて外して考えてみるということです。多様化、細分化されていく専門性を再集結したチームによって価値を生み出す時代では、専門能力を基準とした人材価値の再評価が行われます。肩書きに関係なく1人の専門家として何ができるかが問われるのです。その点をアピールできるのが「売り」です。

化粧品メーカーで国際営業部門を統括してきた高井さん(仮名)という友人がいます。とくに、東南アジア諸国の市場に精通し、各国の歴史や文化はもちろんのこと、国民がどのような嗜好で何を必要としているのか、現地の人かと思うほどの知識量です。管理職であっても「高井さんと言えば東南アジア営業のスペシャリスト」という自他共に認める「売り」で、まさに個人名で勝負してきました。

結果的に彼のチームは重要案件に挑戦する機会が増え、メンバーもそのような仕事を通して成長する機会をたくさん得ることになります。そして、メンバー1人ひとりが自分の「売り」を持つようになり、それぞれの人材価値を高めていくのです。社内の若手社員の間で「いまいちばん働きたい部署」として名前があがっていることを、メンバーの1人から聞いたこともあるそうです。

高井さんが50代のとき、彼の「売り」を見込んだある食品メーカーから声がかかり転職します。扱う商品が化粧品から食品に変わっても、短期間で流通経路を把握して、そこで働く人たちとの関係をあっという間に作りあげ、60歳を過ぎても第一線で活躍しています。

化粧品と食品には健康上の安全が厳しく問われるなどの共通点も多いため、含有成分と健康に関する専門知識が応用できたことも、うまくいっている理由の1つだそうです。

「高井さんと言えば東南アジア営業のスペシャリスト」のように、「○○(個人名)と言えば○○(売り)」といった個人名と「売り」がワンセットで広く認知されている人ほど、個人名で勝負できる「声がかかる人」です。

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