「交渉がうまい人」の有利な条件を引き出す技術

交渉はあえてリスクをとったほうがうまくいく

交渉の場で弱気にならず、有利な条件で決着させるには?(写真:tkc-taka/PIXTA)
ここ数年、世界市場での日本企業の衰退など、悲観的なニュースを目にするようになってきました。これらについては多くの専門家がさまざまな観点から分析をしていますが、アメリカで日系企業を主なクライアントとして20年間活躍してきた、ニューヨーク州弁護士の大橋弘昌氏は、日本企業、日本人が交渉をしないことが大きな原因となっていると言います。
いったいどうすべきなのか。大橋氏が現場で培ってきた交渉術の極意をぎっしり盛り込んだ著書『どんなときも優位な状況をつくれる 負けない交渉術』から一部を抜粋・再構成して紹介します。

交渉では失敗を恐れず、リスクを取る

交渉においては、失敗を恐れてはいけません。

あなたが自分に有利な条件を提示して、相手がその条件を受け入れてくれるとは限りません。相手が席を蹴って立ち去ってしまうかもしれないのです。そういった失敗をしたくなければ、相手の言いなりになるしかありません。でもそれでは交渉とは言えないですね。単なる服従です。

交渉ではリスクを取らなくてはいけません。リスクを取って初めて、自分に有利な条件で交渉を成立させる可能性が出てくるのです。

クライアントである日本の大手マスコミのアメリカ子会社X社が、顧客のY社を訴えたときのことです。X社はY社に、Y社の南米ビジネスについてのコンサルティング・サービスを提供したのですが、Y社がそのサービスの対価を支払ってこなかったので訴えたのです。

争いの金額は30万ドル。アメリカの裁判としては大した金額ではありません。X社がY社にコンサルティング・サービスを提供していたことは確かなので、とことん争えば勝つ自信はあります。しかしそれには弁護士費用がかさみます。アメリカでは、敗訴側によほどの悪意性がないと、裁判官が敗訴側に勝訴側の弁護士費用を負担するよう命じることはほとんどありません。

このときも仮に裁判で勝てたとしても、裁判官がY社に対して、X社の弁護士費用を負担するよう命じる可能性は低いと判断していました。

そうであれば、われわれ弁護士はあまり多くの時間をかけられません。そのことがわかっているY社の弁護士はしたたかです。

「12万ドルなら支払うよ。しかしこれを受け入れなければとことん戦う。最初で最後の和解のオファーだ」と言ってきました。X社が裁判を続けたくないということを見抜いているのです。

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