松山より先にオーガスタV「梶谷翼」17歳の凄さ

渋野日向子と同郷、父が語った成長の軌跡

2012年、ゴルフを始めて2年足らずで世界ジュニア7~8歳の部の優勝を果たす。その後も世界ジュニアへの出場にこだわった。小学生世代の大会が少ないのも理由だが、「経験」を大事にした。

9~10歳の部では、3位、2位となり、優勝できなかった。同年代では飛距離も技術も抜きんでていたが、梶谷にとって全長2435ヤード(パー56)のコースが短すぎて戸惑ったきらいがあった。

11~12歳の部で5653ヤード(パー72)のコースになり、2015年、2016年と2年連続優勝。年代別世界一に計3度なった。「世界ジュニアに育ててもらったという気持ちはあります」と教義さんは振り返る。

プロゴルファーであり、日本予選を開催して世界ジュニアへの選手派遣権を持つ国際ジュニアゴルフ育成協会の井上透代表理事は、梶谷父娘から多くの相談を受けている。「翼はいい意味で勝ち癖があるのと、小さいころから世界で戦う慣れがあったのは間違いない」と言う。

井上代表理事が父娘へのアドバイスとしていちばん重要と思ったのは「技術的なことよりも、内気で話が苦手なタイプでしたので、会話ができること、自分が伝えたいことを言葉にできることが大事と言ってきました。思っていることを相手に伝えられないと、アドバイスもできません」。

在学中の滝川二高で「キャプテン翼」に

梶谷が苦手だったコミュニケーションは、ナショナルチーム入りと、高校進学を機に変わっていったという。2019年に日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチームに選ばれた。日本ジュニアに勝ち、日本女子オープン9位でローアマ(アマの最上位)を獲得。現在、日本女子アマランク1位だ。

ナショナルチームの活動で多いのが海外で戦う「団体戦」。2020年はコロナ禍で大会がなかったが、2019年には3試合で日本代表として戦っている。合宿やコーチング、トレーニングなどのサポートもあって、女子ツアーを席巻している「黄金世代」「プラチナ世代」もナショナルチームから生まれているといってもいい。

日の丸を背負う団体としての活動が、梶谷にとっては内気を克服する環境にもなった。その表れが、在学中の兵庫・滝川二高のゴルフ部主将に「自分の成長になれば」と、立候補した。「キャプテン翼」の誕生だ。教義さんは「ナショナルチーム、高校で、自覚や覚悟、責任感など、人間性を成長させてくれたんだと思います。今は自分の思いや疑問を伝えられるようになりました」と言う。

オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権に出発前、使っているアイアンの飛ぶ高さとスピン量に疑問を持ち、メーカーに自ら相談してロフト角(垂直面に対するクラブフェースの角度)を2度寝かせてもらったという。勝利の要因になった。

「創意工夫」「自分で気づく」「言葉で伝える」といったことは、ゴルフに限らず、どの世界でも必要。梶谷は子どものころから、そんな環境に相次いで身を置けたのが、よかったのかもしれない。

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