松山より先にオーガスタV「梶谷翼」17歳の凄さ 渋野日向子と同郷、父が語った成長の軌跡

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毎年7月にアメリカ・サンディエゴで「世界ジュニア選手権」が行われる。6歳以下から2歳刻みの年齢カテゴリーになっており、最後は15~18歳で、世界中の同年代の選手たちと争う大会になる。筆者は2011年から取材に関わっている。

梶谷が初めて出場したのは2012年だった。7~8歳の部の日本予選、決勝を勝ち抜いて日本代表として日の丸をつけて戦い、優勝を果たした。

大きなトロフィーをもらってご満悦の梶谷。撮影していた筆者が「何か、ポーズ作ろうか」と思案していると、梶谷は頭の上にトロフィーを載せる。以後、世界ジュニアの表彰式でトロフィーを頭に載せる選手が多くなっている。17歳になっても、このポーズを決めてくれた。

世界ジュニア選手権を優勝し、頭の上にトロフィーを乗せる梶谷(中央)(写真提供:国際ジュニアゴルフ育成協会)

幼少期の梶谷は内気な子だった

岡山県出身の梶谷は、7歳のときに父の教義(たかよし)さんにゴルフ練習場に連れていってもらったのがきっかけで、ゴルフを始めている。2011年以降、多くのジュニアゴルファーにアンケートを取っているが、お父さんに練習場に連れていかれたことをきっかけに、プロゴルファーを目指す、というのが多くの子どもたちのゴルフの始まりだ。

その後「プロ」を前提に、親からゴルフを「やらされる」選手も少なくないのが、日本に限らず世界の現状でもある。親の将来を子どもに預ける。親の考え方なので「問題だ」とは言わないが、子どもにとっては大きなプレッシャーを感じるだろうし、成功するのはほんの一握りというのが現実でもある。

梶谷の場合、どんな「育ち方」をしたのだろう。筆者が出会ったときから、父の教義さんは看護師をしている。父、母、弟の4人家族。ゴルフが趣味の教義さんは80台、よければ70台で回れる腕を持っていたそうだ。

「翼は内気な子でした。ゴルフは個人スポーツですけど、一緒に回る人がいてコミュニケーションが必要ですし、自分が審判をする、マナーを学べる、そう思ってさせてみました。クラブにボールを当てるというのは初めてだとなかなかできないのですが、翼はしっかりヒットしていた」

素質はありそうと思ったそうだ。練習場で見知らぬ人からこう言われた。

「娘をプロにしたいんなら、お父さんはゴルフをやめなさい」

子どもは大人の真似をする。変な癖がつかないようにというアドバイスで、教義さんは趣味をあきらめた。

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