(第31回)【変わる人事編】「大卒求人倍率調査」から見えてくる就職の風景

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【求人倍率の定義】求人倍率=求人総数/民間企業就職希望者数
出典:リクルートワークス研究所
 近年は雇用が社会問題化しており、数年前までは派遣労働の不安定さや賃金格差が問題視されていたが、昨年から新卒の内定切りが発生し、メディアで報道されることが多くなっている。その報道の中で「2000年の就職氷河期の再来」と現在の就職難を説明する文章を見ることがある。確かに2000年の大卒求人倍率は0.99と1を切っている。就職を希望する学生より求人数が少ないという異常な年だった。ただし「2000年が就職氷河期」という文章は正しくない。「就職氷河期」という言葉は1996年ごろに使われ始めた言葉であり、2000年代の初頭まで続いていたからだ。

 しかし、こんな言葉の誤用は「大卒求人倍率調査」の責任ではない。もともと誤解されやすいのが大卒求人倍率なのだ。

 求人倍率の変化だけを見れば、求人倍率2以上が1992年卒採用まで続いている。1992年の採用計画は前々年の1990年の後半に立案されているからまだ好況感があった。1991年(1993年採用)になると不況感がしみ通ってきて、求人倍率は2を切り、以降は長く低迷状態が続く。

●濫造された大学と大学全入システムが若者を稚拙にしていた

 この求人倍率だけを見ると、日本の景気をダイレクトに反映しているように感じられる。しかしこのデータにはもっとたくさんの情報が入っている。

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