(第30回)「四字熟語・故事ことわざ」で綴る就職支援・第十七話『続・面接十戒』

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(第30回)「四字熟語・故事ことわざ」で綴る就職支援・第十七話『続・面接十戒』

菊地信一

いかに優秀でも不採用になるケースがあることを知れ!
“当社の選考基準”の「基準」の意味は?

 誰が見ても優秀であれば、どの会社からも引く手あまた。連戦連勝となるはずである。さて、そういう学生はどのくらいいるのだろうか?
 実は勝利し続ける学生というのは極めて稀(まれ)だ。キミたちにとって「驚天動地」といえるだろう。なぜなら、著者が知るかぎりにおいて、「なぜ、こんなに能力が高い、学業成績も優秀の人物が入社できないのだろう」というケースが多々あったからだ。
 こんな話もある。ある学生が落とされた企業に対して、その理由を尋ねたところ「人物評価は申し分ありませんでした。面接もソツなくこなされたようですね。ただ、当社の選考基準に合わないのです。ご縁がなかったものとあきらめていただけますか。申し訳ありません」といった返答があったようだ。よくわからない回答だ。
 彼の名を仮にA君とすれば、A君は世間でいうところの一流大学生。模擬面接をしても、自分の言葉で的確に伝える術(すべ)を持っている人間だな、という印象である。実際、その年度の大学生に比べても、見劣りするどころか、はるか雲の上をいっている実力の持ち主だった。しかも、面接での失敗はないという。ところが結果はボツ。理由はなぜだろうか? 実は、このあたりが面接の不思議な側面なのだ。A君を不採用にした企業がいみじくも語ったように“当社の選考基準”なるものがくせものだ。これは何を隠そう、キミたちと企業との“相性”の問題に尽きる。一見して、非科学的なイメージもするが、逆に考えればこのようになる。

人事のホンネ 企業と学生にも目に見えぬ“相性”がある!

 ある採用担当者が、そのあたりのカラクリを、こう説明してくれた。
 「人が人に会った場合、極端に異なった個性の持ち主同士であれば、互いに反発する確率が高くなる(例外もあるが)。反対に似たような性格の者ならば同化しやすくなる」
 「採用とは結局のところ、その学生がわれわれと一緒に働けるかどうかを判断する作業です。部下には、アイツとなら席を並べられるという観点で人選せよ!なる指示を出しています」。(化学メーカー人事部長)
 こうなってくると、キミたちの努力だけでは如何(いかん)ともしがたい状況ではないか。

 B君のケースを紹介しよう。彼は総合商社志望。実力を試そうと中・下位クラスの企業を数社受験したが、すべて面接で失敗。ところが、最後のチャンスにかけた上位企業を受験したら、面接官に気に入られて合格してしまった。キミたちは、これを特殊な事例と思うかもしれないが、実際の採用戦線では日常茶飯事の光景となっているのだ。多くの先輩諸君は、面接で二度失敗すると、すっかり自信をなくしてしまう傾向にあるようだ。しかし、決して悲観などする必要はない。少なくともキミたちは。“備えあれば憂いなし”の心構えで準備を怠らなければ、たとえ○社はダメでも□社に合格、ということもある。途中で投げ出さず“相性”の合う企業を探し続ければ、女神はキミにほほえむだろう。

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