日本のスポーツが「苦行」をベースに発展した訳

ドイツと日本で考える文化としてのスポーツ

ドイツのスポーツクラブは地域の「コミュニティ」としての要素が大きい(筆者撮影)
スポーツとひとくちにいっても、その解釈や理解、そして実際の活動のしかたは国や地域によって異なります。著書『ドイツの学校にはなぜ「部活」がないのか』のなかで、スポーツを文化として捉え、社会の豊かさについて言及している高松平藏氏。
社会学が専門で、サッカークラブ「AS.ラランジャ京都」の会長でもある上田滋夢氏と日独のスポーツについてオンライン対談をしました。

欧州と日本では「コミュニティ」の意味が違う

高松:ドイツにスポーツクラブがたくさんあります。日本でいえばNPOのような組織で運営されており、学校の部活とはまったく異なるものです。こどもからお年寄りまでメンバーで、地域社会の中でその存在感も大きい。そんな様子を見ていると「コミュニティ」がキーワードとして浮かび上がります。

上田:そうですね。しかし、「コミュニティ」という言葉、日独で少し違うように思う。日本では場所や地域のことを指すことが多いと感じます。地縁血縁が原点になった「固定型」。それに対して、ドイツは場所というより、人々の「つながり」そのものがコミュニティだと。

高松:スポーツクラブもそうですが、共通の好みや目的で集まる同好の士の「つながり型」が多い。おもしろいのは、私が住む町で年に1回大きなビール祭りがある。クラブの仲間も集まるのですが、普段はトレーニングに来ない人や、遠くの町へ引っ越してしまった人もやってくる。「つながり型」のコミュニティの感覚がよく出ます。

上田:なるほど。日本を見ると、スタジアムやクラブハウスをどうやって持つかという議論に力が入りやすいですね。どうしても場所ありきになる。地縁・血縁に重きをおいてしまう傾向が強いので、コミュニティという考え方自体が固定化されて広がりにくい。高校野球の地元校への感情もその枠組みにあると思えます。

高松:一方で地域も変わりつつあるようですが、何か変化はありますか?

ドイツと日本、オンラインで対談を行った(左:上田滋夢氏、右:筆者)(筆者提供)

上田:私が住む京都には古来からの祇園祭があります。地縁・血縁でつながった後継者不足が問題となって久しく、山鉾が動かせなくなることも起こってきました。祇園祭をなんとか存続させたいと思う人々、つまり外部の地・血を入れなければ成立できなくなってきたことからコミュニティの考え方が明らかになると思います。

高松:地縁ではなく、「同好の士」が加わった点で大きな変化ですね。

上田:はい。少子高齢化を背景に、「コミュニティの本質は何か」ということを祇園祭から考え直すきっかけになっていることがなんとも不思議なものですね。

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