日本のスポーツが「苦行」をベースに発展した訳 ドイツと日本で考える文化としてのスポーツ

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高松:ラランジャの中では、小学生高学年から中学生、高校生のメンバーを対象に起業家教育のようなものもされているとか。けっこう奇抜に聞こえますが。

上田:アントレプレナーシップって格好をつけているように聞こえますけど、誰でもアイデアを出してワイワイする空間と空気をつくるために教育コンサルタントのIKIRU LLC.さんに御協力いただき行い始めました。

高松:具体的なプロジェクトにもつながることもあるとお聞きしています。

上田:はい、銀行や企業の企画関係の方などにゲストでお越しいただく。「それいいね」「ちょっとウチでも考えてみるので手伝ってください」なんてことがあります。

学年や年齢関係なくアイデアを出し合う

高松:例えばどんなものがありますか?

上田:すみません、そこは企業の方から言わないでほしいと言われていまして……(笑)。

高松:なんと、どうやら本当にすばらしいアイデアのようですね。そういうアイデアが出る「現場」の様子は?

上田:学年、年齢関係なくアイデアや解決策がでますね。年齢が低い子が言ったことを具体化するのが年齢の上の子だったり、年齢の低い子たちが、「それようわからん」と言ったら、かみ砕いて説明をしてお互いに理解し合う自然な役割ができあがっています。

高松:日本の場合、「先輩・後輩」という人間関係の秩序がある。いい点もあるのでしょうけど、それが硬直的になると、「後輩のくせに生意気なこと言うな」なんて言われて、意見の表明のしにくさにつながる。しかし、ラランジャのこどもたちの様子は自由な雰囲気ですね。

上田:日本的な年齢の上下は当然あるのですが、それをわかり合いながらお互いの役割というものを理解している。年齢・国籍・初心者・経験者関係なくボーダレスです。それ以上に、個人として認められたりする経験ができる。むしろわれわれ大人がその姿から学んでいます。

高松:なるほど、「フットボール」になっていますね。一方、「プレー」「技術」としてのサッカーはいかがですか?

上田:フィールドの中では、勝つためにとか、点を取るためにというものは、答えはありそうでないし、なさそうである。そのときに違ったアイデアを生み出したり、それに対してサポートしていったり、見つからなければディスカッションをしようという、そういう文化ができあがっていると思います。

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