ウィーンで「日本の抹茶」人気が急上昇した理由 国内では茶園の「高齢化」が進み縮小傾向だが…

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ウィーンにある抹茶専門店『Cha No Ma』(写真:©2009 Chanomavienna.)

2021年3月、お茶業界に衝撃的なニュースが流れた。農林水産省が発表した2019年の農業産出額で、鹿児島県の茶産出額がお茶どころ・静岡県を抜き、初めて日本一となったというものだ。

鹿児島県の地元紙は「鹿児島、茶産出額全国1位に」と大きく報じ、静岡県の地元紙は「静岡県 茶産出額1位陥落 史上初」という見出しを掲げ、「静岡茶ブランドを高めていくしかない」という関係者のコメントを伝えていた。

日本の茶業界の現状を農水省の「茶をめぐる情勢」(2021年2月)で見てみよう。2019年の栽培面積は4万600haで漸減傾向にある。かつて10万トンを超えていた生産量は、近年は8万トン台だ。生産者は年々高齢化が進んでいる。

65歳以上の割合を見ると、2000年の49%が2015年には56%に高まっている。茶園の約4割が樹齢30年以上と、こちらも〝高齢化〟(老園化)し、収量や品質の低下が懸念されている。

一方、消費は、1世帯当たりの年間支出金額を見ると、緑茶飲料が緑茶(茶葉)の2倍(19年家計調査 1世帯 緑茶飲料7845円 緑茶3780円=年間)となっている。若者から70代まで幅広い年代で「お茶はペットボトルで飲む」という習慣が定着しているようだ。緑茶需要が高いのは70代以降のみである。

2020年の日本茶輸出は過去最高

そんな状況の中で一筋の光明は輸出である。2020年の日本茶の輸出額は162億円(輸出量は5274トン)と、コロナ禍にもかかわらず過去最高を記録した。2010年は約42億円だったから、10年間で4倍近くに拡大した。

2020年の輸出先上位は次の通りだ(貿易統計)。

1位 米国     84億3600万円 
2位 台湾     15億4950万円 
3位 ドイツ    11億6200万円 
4位 シンガポール  7億4300万円 
5位 カナダ     6億6000万円

米国とアジア、EU向けが大半だ。輸出相手は66国・地域に及ぶ。

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