ウィーンで「日本の抹茶」人気が急上昇した理由 国内では茶園の「高齢化」が進み縮小傾向だが…

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それにしても、なぜオーストリア向け輸出が急増したのか。その背景を探るべく、2019年以降の動きを調べてみると日本茶に関わる興味深い動きがいくつかみつかった。

①日本オーストリア友好150周年イベント
2019年にウィーンでさまざまなイベントが開催され、千玄室大宗匠による平和祈念献茶式や愛知の茶生産者のプロモーション活動が行われた。
②JETROによる大がかりな日本茶商談会
2019年10月19社・団体が有機抹茶などを出品した。
③緑茶関税の撤廃
2019年2月発効の日EU EPAで3㌔以下3.2%だった緑茶の関税が即時撤廃された。

それまでも、ウィーンでは、日本茶カフェの存在や日本茶の小売販売、ネット販売があったが、こうしたイベントや規制撤廃がウィーンでの日本茶・抹茶人気を押し上げた一因であることは間違いないだろう。

そんなウィーンにおける日本茶・抹茶人気について、最近、ある有名人の興味深いコメントが目に留まった。ドイツ人のヴィオラ奏者と結婚し、1年の約半分をウィーンで過ごしている女優の中谷美紀が、3月9日、CMに出演している伊藤園の新製品発表会に現地からリモート出演し、こう語っていた。

「私は海外の方と親しくなると、日本茶と、日本の作家さんが作られた急須と湯呑のセットをプレゼントしているんです。私たち日本人が思っている以上に、欧米では緑茶に対する認識が高まっているので、大変喜ばれますね。

ヨーロッパでもいま空前の日本茶ブームで、とても伝統的な歴史のある頑固なカフェでも、最近は抹茶ラテが出てきたりするんですよ。今日もスーパーに買い物に行ったら、鉄瓶と湯呑のセットが飾ってありました。こちらではなぜか鉄瓶が人気なんです」

緑茶製品のPRの場での発言ではあるものの、実際に日本茶を提供するカフェなどが増えているという。

ウィーンに「日本茶」を広めた、ある日本人

カフェ文化発祥の地・ウィーンで日本茶・抹茶文化が広まった背景には1人の日本人の存在がある。近藤常恭さん(89)である。ドイツなどで日本食品店や日本料理店を経営していた近藤さんは、1974年にウィーンに日本食品専門店「日本屋」を開店し、現地に日本食文化を広めてきた。

この頃から日本茶の輸入販売も行っていた。そんな経験をもとに2006年5月、近藤さんの長女・愛弓さんが日本茶カフェを開業した。

その人気店「Cha No Ma」(茶の間)のメニューには抹茶ラテや抹茶スムージー、八女玉露を使ったお茶、さらに抹茶ジェラートやヴィ―ガンズ抹茶アイスなど多彩な品が並んでいる。最近は何が人気なのか、なぜ、日本茶なのか、同店に聞いてみた。

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