「劇的にまずい」レッドブルが大ヒットした理由 潜在意識のハッキングとプラシーボ効果の力

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私がレッドブルを「ひどくまずい味がする」と表現しても、主観的な意見ではないだろう。いや、これは大衆の代表的な意見なのだ。

レッドブルは発祥地のタイからまだ輸出もされないうちに、この飲料の味に対する世界中の消費者の反応を、ライセンシーが調査機関に調べてもらったという噂が広まった。炭酸飲料の特徴に関する調査が専門である調査機関は、これほど悪い反応を示された製品を初めて見たという。

新しい飲料を試したとき、消費者は好ましくない反応を控えめに表現するのが普通だ。「これは私の好みじゃないです」「ちょっと飽きる味ですね」「これは子どもに飲ませたほうがいいんじゃないですか」というように。

レッドブルの場合、怒りに近い評価をされた。「こんな小便みたいなもの、金をもらっても飲まないよ」といった評価もあった。

だが、この飲料が広く成功を収めていることを誰も否定できないだろう。なんといってもF1チームにあっさりと資金を出せる、年間60億本を売り上げる利益があるのだ。

レッドブルを成功させたプラシーボ効果

レッドブルほど成功した商業的なプラシーボ(偽薬)はない――潜在意識へのハッキング能力がとても優れているので、世界中の心理学者や行動主義経済学者によって繰り返し研究されており、その中にはヨーロッパで最高のビジネススクールの1つであるインシアードのピエール・シャンドンもいる。

この飲料から連想されるものがあまりにも強力なため、レッドブルというロゴがあるだけで行動が変わってしまうように思われる。

しかし、レッドブルを生み出したのは指令経済でもなければ、官僚的な大手の多国籍企業でもない――それはある1人の起業家によって生み出された。

レッドブルの信じがたいほどの成功に最も納得がいく説明をつけるなら、一種のプラシーボ効果があったことだ。

なんといっても、レッドブルは優れたプラシーボのさまざまな特徴を備えている。レッドブルは高額で奇妙な味がして、「摂取の制限」がある。

レッドブルが出たばかりのころ、その活性成分であるタウリンがもうすぐ法律で禁じられるだろうという噂が繰り返し語られたことがさらにプラスとなった。

値段や味に加えて、小さな缶入りという点がとくに効果的だった。新しいソフトドリンクなら、標準的なコークサイズの缶で売られるはずだと普通は思うだろう。

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