センバツで初適用「1週間500球」制限の薄い効果 2019年春の甲子園と比べて投球数は変わったか

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④個人の「大会通算投球数」上位5人

2019年
石川昂弥/東邦(愛知)593球 5試合
中森俊介/明石商(兵庫)493球 4試合
若杉晟汰/明豊(大分)352球 4試合
飯塚脩人/習志野(千葉)343球 5試合
野澤秀伍/龍谷大平安(京都)327球 3試合
2021年
達孝太/天理(奈良)459球 3試合
太田虎次朗/明豊(大分)415球 5試合
畔柳亨丞/中京大中京(愛知)410球 4試合
石田隼都/東海大相模(神奈川)403球 5試合
毛利海大/福岡大大濠(福岡)398球 3試合

2021年は500球以上投げた投手は出なかったが、400球以上の投手は2019年の2人に対して2021年は4人に増えている。

なお1週間での投球数は、2019年は中森俊介/明石商(兵庫 現ロッテ)が493球、石川昂弥/東邦(愛知 現中日 野手に転向)が430球。2021年は畔柳亨丞/中京大中京(愛知)が410球、毛利海大/福岡大大濠(福岡)が398球だった。

「1週間に500球」という「球数制限」が導入される以前から、この投球数に達する投手はめったにいなかった。ここ5年の春夏の甲子園でいえば、前述の2018年夏の甲子園での吉田輝星/金足農(秋田 現日本ハム)の592球があっただけだ。

桑田真澄氏が「まったく意味がない」とした基準

日本高野連が定めた「1週間で500球以内」という基準は、「実質的な投げ放題だ」という声が高かった。このコラムでも紹介したが桑田真澄氏は「まったく意味がない」とし、「成長期にある高校生がプロの倍も投げるというのはいかがなものか」と疑問を呈した。

「1週間で500球以内」という基準に意味はあるのか。画像はイメージ(写真:筆者撮影)

今季のNPBでいえば4月8日時点で1週間での最多投球数は、オリックス宮城大弥とDeNA大貫晋一の227球だ。

一方で、有識者会議に参加した整形外科医などからは「数はともかく、“球数制限”に踏み込めたことは良かった」という見方もあった。有識者会議が行われた2019年の時点でも高校球界では「甲子園は高校球児にとって最高の舞台だ。完全燃焼させるべきで、“球数制限”などとんでもない」という声が圧倒的だった。

そんな中で兎にも角にも「球数制限」の導入ができたことを進歩ととらえ「これからは選手の健康を気遣って球数に留意する指導者が増えるだろう」と評価する声もあったのだ。

「球数制限」施行後、初めての甲子園大会では、どうだったのか? 3月31日の準決勝の段階で、それ以降の試合で「1週間で500球以内」に到達しそうな投手は2人いた。

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