中国人が顔データの「無断収集」に激怒するワケ 名物番組では個人情報を巡る企業の不正を暴露

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番組放送後の反響はすさまじかった。名指しされたブランド、カメラ設置事業者が大炎上するのはもちろん、万店掌の公式サイトで取引先企業を調べ、店舗にカメラを探しに行く行為も広がった。

コーラー、マックスマーラ、正通汽車は即座にカメラを撤去し、マックスマーラは「カメラは人数把握にのみ利用しており、個人情報は収集していない」と釈明した。万店掌の創業者も「収集したデータは内部で厳格に管理し、流出の恐れはない」と強調した。

だが、事態は収束しなかった。時を前後して、まったく別のルートで「無印良品とダイソーとユニクロを足して3で割った雑貨チェーン」として日本でも有名な「名創優品(メイソウ)」の店舗でも顔認証カメラの設置が発覚したのだ。

消費者の不安がさらに広がる

江蘇省張家港市の市場監督管理局によると、検査官が抜き打ち検査で天井のカメラを見つけた。防犯カメラの設置自体は不自然でもなんでもないが、検査官はカメラの一部がテープで目隠しされていることを不審に思い、テープをはがしたところ、315晩会でも糾弾された「万店掌」のロゴが現れたという。

店長は検査担当者に、会社からの指示でロゴを目隠ししていたと説明した。さらに店長のスマホにはカメラと連携したアプリがインストールされ、来店者の性別、大まかな年齢だけでなく、「初来店」「11回目の来店」「会員」など各顧客の“忠誠度”も表示されていたという。

2020年末時点で4514店舗を展開するメイソウが顔認証カメラで取得した個人情報をアプリで運用している生々しい実態が明らかになり、消費者の不安がさらに高まった。

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