しかも、実際に人手不足が深刻なのは、公共投資肥大化(第二の矢)の恩恵を受ける建設セクターや、低賃金の労働者を「酷使」してきた一部のサービス業くらいである。長期間デフレが続いてきた日本経済にとって、人手不足が成長の抑制要因になる局面は、まだかなり先のことだろう。
完全失業率は3.5%と、ようやくデフレが深刻化する1998年のレベルまで戻った。一方で、デフレ下では、若年男性サラリーマンの非正規が進んだたことで、現状は賃金水準が抑制されたままである。労働市場において、需給バランスがさらに改善する余地はまだ大きい。
最新の拙著「インフレ貧乏にならないための資産防衛術」(東洋経済新報社)で説明しているが、筆者は、デフレ長期化(日銀の失政が原因)に伴う若年層の労働環境悪化が、少子化を加速させた面が大きいと考えている。デフレが深刻になった1990年代後半に労働環境が劇的に悪化したのとほぼ同じタイミングで、合計特殊出生率が危機的な水準まで低下した。
アベノミクスの成功によるインフレ経済の実現は、労働市場の改善を通じて、少子化問題を和らげることにもつながるのである。
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