「出世の見込みがない人」ほどイキイキと働ける 働かないオジサンにならない4つの働き方(下)

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専門性は、専門知識を持っていない人にそれを提供して、役立ててもらうという側面が重要なのである。得た知識を真に役立てるには、他人との関係こそがポイントになってくる。高い能力やスキルだけでは、転職や独立することはできない。サラリーマンから独立を目指している人には、そこを勘違いしている人もいる。

そういう意味では、若いうちから対人関係力を磨けるという意味で、会社で働くことはいい機会だ。仕事で突き抜けるためには、人との関係がモノを言うのである。

独立するか、会社員を続けるかの二者択一ではない

前回と今回で、「働かないオジサンにならない4つ働き方」を見てきた。そこからわかるのは、退社するか、会社に残って働かないオジサンになるかという選択だけでなく、多様な働き方がありうるということだ。

会社を退職して起業や独立を果たす人もいれば、仕事を続けながらスノーボードで充実感を得る人もいる。美容師や物書きを目指して長い時間をかけて取り組み、その後に独立する人、会社との雇用関係を業務委託関係に変更することを自ら申し出て、2つの立場で活躍している人……。私自身も、会社員とフリーランスという2つの立場を持っている。

ビジネスパーソンの多くは、会社に残るか、独立起業するかの二者択一の議論に陥りがちだ。しかし、どちらもしょせんは働き方の問題にすぎない。本当の目的は、自分を活かしてイキイキと働くことである。そのためには、その人にフィットした働き方を見いだすことが大切である。

二者択一の発想になるのは、会社という組織の枠組みを強固なものと考えすぎ、人の能力やスキルの多様性をあまり認めない、一律思考が根元にあるのではないだろうか。

最後に、あなたの周りに「枠組み脱出型(Cエリア)」「仕事突き抜け型(Dエリア)」の社員はいないだろうか。できれば、ほかの読者とも共有して、この「働かないオジサンにならない4つの働き方」を幅広く検討したいと考えている。ぜひツィートにて紹介していただきたい。

※Twitterで、ハッシュタグ「#働かないオジサン」をつけて投稿してください。いただいたご意見は、連載の中で紹介させていただくことがあります。なお、ご意見を紹介させていただいた方には、筆者のサイン入り書籍『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』をプレゼントいたします。

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楠木 新 人事コンサルタント

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くすのき あらた / Arata Kusunoki

1954年神戸市生まれ。1979年京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に経営企画、支社長等を経験。47歳のときにうつ状態になり休職と復職を繰り返したことを契機に、50歳から勤務と並行して「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組む。2015年に定年退職した後も精力的に活動を続けている。2018年から4年間、神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。現在、楠木ライフ&キャリア研究所代表。著書に、『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『定年後の居場所』(朝日新書)、『定年後』『定年準備』『転身力』(共に中公新書)など多数。

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