日本が何度もコロナ対策に失敗する本当の理由 「短期決戦思考が根本原因」というのは間違い

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目的はなかったのである。

すなわち、目的がはっきりしないのではなく、そもそも存在しなかった。だから、何をやるにも統一が取れるはずもなく、結果も何も出ないのであり、意味不明の行動、結末となるのは、合理的であり、ある意味、目的を達成したのである。

日本企業の目的は「長期に存続すること」

目的をあえて言葉で記述すれば「何かをすること」だったのである。何もせずに終わることなく、とにかく何かをすること、それが目的だった。やることなすことが意味不明で、やらないほうがましだったのにもかかわらず、とにかく何でもいいから動きまくろうとしたのである。

だから、戦争中は自重した指揮官や参謀は非難、左遷された。玉砕する指揮官、兵士がもっとも賞賛された。何かをするなら派手なほうがいい。勝てないとすれば、派手に負けたほうがいいから、特攻して自爆するのがいちばんである。21世紀の自爆テロも同じである。成算なく自爆するのが最高に何かをすることなのである。何をやっても無力なら、もっとも非合理的な自爆こそが最高に合理的なのである。

これは、日本企業のいたるところに見られる。自爆的に社運を賭けて、原子力に投資する。液晶に投資する。日本企業はすぐに社運を賭けてしまう。それで自爆する。一矢報いて破滅する。破滅の美学である。一矢報いても負けであるし、勝ったほうには一矢も二矢も意味はない。それなら生きて、次のチャンスを待ったほうがいいが、勝つという目的を持たないから、破滅を選ぶ。

日本企業には、利益を最大化するという目的がないようだ。長期存続が目的だ、事業継続が目的だ、という説もある。確かに長寿老舗企業はそのように目的がはっきりしている場合もある。

だが、大企業ではまったくはっきりしない。利益も長期存続も、というが2つの目的は最終目的でない。さらに言えば、老舗でも実は不明瞭で、老舗和菓子屋でも、洋菓子やカフェをやって、今の利益を極大化しようとしている。長期存続が優先されているかどうか不明確で、問われれば「伝統と革新のバランス」だとか言って逃げているが、要は不明瞭で、実はどちらでもなかったりする。自分がそのときやりたいことをやっているだけではないか。

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