株式市場における日本銀行の存在感の「異常な大きさ」を感じさせる出来事があった。
3月19日に、日銀は金融政策決定会合における金融政策の点検の結果を発表したが、このなかでETF(上場投資信託)の今後の購入について「年間12兆円」の上限は維持するものの、「年間6兆円」の購入目処を廃止することと、購入対象をTOPIX(東証株価指数)連動型に限ることを発表した。
日銀は、これまでにもTOPIX連動型を中心に購入することを発表し、実行してきたが、日経平均株価連動型は今後購入しないことを明言したのだ。
「日銀砲」の威力は大きかった
この発表は株式市場に大きく影響した。3月19日当日の日経平均は前日比424円安(マイナス1.4%)、翌取引日の22日にも617円安(マイナス2.0%)と連日大きく下げた。
この間、TOPIX(東証株価指数)は、それぞれ前日比で19日にはプラス0.2%、22日にはマイナス1.1%と推移した。日経平均はTOPIXより2%以上も余計に下げた。
個別銘柄では、日経平均の計算上10%以上のウェートを占めるファーストリテイリングの株価が大きな影響を受けた。19日は前日比5910円安、22日の終値は4230円安と連日下げ、2取引日で合計10.4%も下がった。日銀は、日経平均連動のETFを「今後買わない」と言っただけで、現実に売ったわけではないのだが、発表は株式市場に大きく影響した。
投資家にとっての教訓が2つある。
まず、ポートフォリオとして見た日経平均はいわゆる「値嵩(ねがさ)株」の占めるウェートが高く、分散投資が不十分なので、リスクが無用に大きく、資産形成のための投資対象としては少々問題があることだ。
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