米中衝突の危機は2022年2月以降にやって来る? バイデン政権の「次の注目点」は日米首脳会談だ

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アメリカのバイデン政権は4月29日に「発足100日」を迎える。ここまではかなりうまく行っているように見えるが、どこで試練を迎えるだろうか(写真:ロイター/アフロ)

ホワイトハウスのHPを開けると 、フロントページに「ワクチンの進捗状況」が掲示されている。3月31日現在、「最低1回のCOVID-19ワクチン接種を受けた成人アメリカ人の比率」は37%とある。

バイデン流で「政権100日のハードル」クリアへ

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なんと、もう全体の3分の1を超えているのだ。最近のアメリカ経済は、景気指標もマーケットも強くて、長期金利の上昇にもかかわらず株価も堅調である。その背景には、何よりこの「ワクチン・オプチミズム(楽観主義)」があるように思える。

同じ欄には、「100日間で2億回」という数値目標も掲げられている。こちらは3月31日現在で1億3300万回となっている。政権発足から100日目となるのは4月29日なので、今の調子なら十分に達成できそうだ。

そもそも当初は「1億回」と言っていたものを、同国の製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン社の「1回の接種でOK」というワクチンが承認されたこともあり、途中で目標を倍増させた経緯がある。”Under Promise, Over Deliver”(公約は控えめに、実現は大きめに)というのがジョー・バイデン流である。

また、同じく3月31日には、バイデン大統領は「向こう8年間で2兆ドル」を投資する成長戦略を公表した。先に成立した1.9兆ドルの「アメリカ救済法案」(American Rescue Plan)はとりあえずのコロナ救済策であり、こちらはインフラ投資や気候変動対策を通して、雇用を創出する長期計画(The American Jobs Plan)ということになる。今後はさらに、教育やヘルスケア産業に約1兆ドルを投入する計画を打ち出す予定だという。

今回のプランには道路や橋などの修復、電気自動車の普及、高速インターネット網の拡充、そして先端技術の研究開発などが盛り込まれている。驚くようなものは含まれておらず、基本的に選挙戦での公約通りの内容である。財源としては法人増税を盛り込み、2017年の「トランプ減税」を元に戻すことを想定している。他方、富裕層の増税については踏み込まなかった。この辺は中間選挙を意識してのことなのか、それとも議会情勢を踏まえてのことなのか、微妙な政治判断と言えるだろう。

次ページ今回の「雇用計画」は本当にそのまま実現するのか
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