米中衝突の危機は2022年2月以降にやって来る? バイデン政権の「次の注目点」は日米首脳会談だ

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発表した場所がペンシルベニア州ピッツバーグだったのは、やはりドナルド・トランプ前大統領支持者の多い白人ブルーカラー層を意識しているのであろう。

ただ、超党派の合意を目指すとは言うものの、上院で10人の共和党議員の賛成が得られるとは考えにくい。もっと言えば、下院の民主党進歩派議員が「これじゃ足りない」と言い出しかねない。下院の議席数も僅差であるから、法案成立までには相当な紆余曲折がありそうだ。この辺は上院議員歴36年、バイデン氏の「国対族」政治家としての腕の見せ所ということになる。

それにしてもバイデン政権、「最初の100日」の成果はなかなかのものだ。ワクチン接種や経済対策だけではない。外交面では、対欧州や対中東では遅れが目立つとはいえ、対アジア政策では、初のQUAD(日米豪印)会議(3月12日)をオンラインで実現し、そこから日米「2+2」(同16日)、米韓「2+2」(同18日)、そして波紋を呼んだアンカレッジの米中外相級会合(同18-19日)と、着々と「対面での外交実績」を積み上げている。

次なる注目点は何か?

そして次なる注目点は、4月16日に行われる日米首脳会談ということになる。菅義偉首相はワクチンを打って、勇気凛々ワシントンDCに乗り込む。当初は9日の予定だったが、アメリカ側の事情で1週間の延期となった。それでもバイデン大統領にとっては対面で行われる初の首脳会談の相手である。これも「最初の100日」の成果のひとつに数え上げられることだろう。

口さがない向きは「なあに、いちばん失敗しなさそうな相手を選んだだけのこと」と言うかもしれない。が、トランプ前政権とうまくやっていた日本外交が、そのことをさほど根に持たれている様子もなく、政権交代後にこんなポジションを得ているのはたいしたものではないだろうか。

もっとも喜んでばかりはいられない。バイデン政権側としては、「中国と正面から向き合っていくためには、日本を味方につけることが欠かせない」と割り切っているのであろう。

国内のコロナ感染を軽微に押しとどめ、マイナス成長なしに2020年を乗り切り、軍事力を増強し、ワクチン外交も怠りない中国は、着実に影響力を拡大している。

逆にアメリカはすでにコロナで約55万人の死者を出し、国内は分断が深まり、トランプ時代の4年間に対外的な信用力も低下した。米中間のパワーバランスは、かなり中国側に傾いたと言わざるをえない。

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