さて、日銀は、今後、TOPIX連動型にETFの購入対象を絞ると発表したが、日銀も一般投資家も保有する対象がTOPIX連動型なら安心かというと、そうでもない。
『週刊東洋経済』の3月20日号は「波乱に負けない! 上がる株」という特集が組まれているが、この号の表紙を見ると「投信の売り対象に!TOPIXから外れそうな銘柄」という不穏な見出しが目に付く。記事は、78ページから79ページにかけての2ページにあって、「TOPIX除外懸念のある“意外”な銘柄」のリスト付きだ。
東証の「ルール改正」でTOPIXの値下がりも
詳しくは記事を見てほしいが、東京証券取引所は、2022年10月から、流通株式時価総額100億円未満の銘柄をTOPIXの計算から段階的に外して行く方針だ。3カ月ごとに段階的に外して、2025年に1月末に最終的にTOPIXの構成銘柄から完全に除外される予定だ。
この記事が雄弁に物語るように、TOPIXから外れる銘柄は値下がりが予想され、また、市場参加者には「売り予定」が事前にわかるので、ポートフォリオとしてのTOPIXにとっては売買予定を事前に発表したのと同じ不利益となる。
時価総額の小さな銘柄なので、一回一回の指数への影響は軽微だと期待する向きもあろう。だが、時価総額が小さい銘柄であるが故にTOPIXから部分的に外れる際の値下がりは案外大きなものになる可能性があり、投資家にとっても、もちろん日銀にとっても、「TOPIXの損」が一定程度発生する可能性がある。
巨額のTOPIX連動型ETFを保有する日銀は、この問題をどうするつもりなのだろうか。日銀の金融緩和策は総体として必要であったし、一定の効果があったが、手段の一つとしてETFを買ったのは失敗だった。
なお、インデックス・ファンドを運用できる規模とシステムを持つ運用会社は、自前のインデックスを作って、「TOPIXの損」を回避することが可能なインデックス・ファンドを作ることが可能なはずだ。インデックスのスペックと運用方法についていくつか工夫が必要だが、筆者は腹案を持っている。いずれ書いてみたいと思っている(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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