まったく違う。
日本が短期志向だと誰が言った? かつての日本企業の強みは、長期志向にあった。企業は短期利益よりも長期成長性を重視したために、アメリカの短期志向企業よりも長期的に成功した。損して得をとることで、信頼を得てきた社会である。このような日本モデルの説明は、180度間違っていたということか?
日本の本質は「ご都合主義」
私の意見は、日本企業は、ご都合主義なのである。短期に追い込まれたり、合理性を否定されると「これは長期的視野から行っている」、と弁明する。今、戦いに負けていることを指摘されると「肉を切らせて骨を断つ」とか何とかいって、その場を言い逃れるのである。長期志向だと言って、短期的に逃げ切ろうとするのである。
そして、そもそもなぜ日本軍が短期志向に陥っていたか、そして、それが日本に根深くはびこる社会全体の悪癖となっているのかの解明がない。かんべえ氏は、集団主義、属人的統合といった組織の特質によるのだろうと言っているが、これも違う。
日本企業の特徴はと言えば、長期雇用、終身雇用、家族的経営である。これらは集団主義の一つだと思うが、これらはすべて長期志向でないと成り立たない。180度矛盾している。
ではどう説明したらよいか。
そもそも『失敗の本質』という本自体が根本から間違っている。だから、かんべえ氏の解釈も間違う。読み解く対象のバイブルが間違っていれば、その論理的に正しい解釈は間違いとなることが、正しいのである。
いや、失敗の本質の議論が間違っているわけではない。失礼かもしれないがその本の存在自体が間違っているのだ。
なぜなら、日本軍の6つの敗戦は失敗ではないからである。失敗でないものを失敗と設定して、失敗の原因を探っているから、それは、本の内部での議論は論理的に正しいが、本自体が間違っているのである。日本軍は勝つために戦わなかった。そもそも大東亜戦争の目的が勝つことではなかった。だから、その中での局地戦で勝つことが求められていなかった。だから、負けたのは失敗ではないのである。
勝つことではなかったから、勝つための戦略を考え、行動すること以外には合理的な組織的動きができない軍隊という組織は、迷走し、意味不明の行動をとり、無意味な結果をもたらしたのである。
では、目的は勝つことでなければ、なんだったのか。
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