「失業給付勧め、600人解雇」のタクシー会社の今 ロイヤルリムジン社長独占インタビュー

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ウチのような規模の会社が利益を出す、投資家のリターンを考えるとある程度のスケールはどうしても必要となる。リスクを取ってでも先を見越して新しく営業所をスタートする運びになりました。

驚くことに面接には80人以上の方に応募いただいて。良くも悪くも名前が売れたことで、人は集まりやすくなったのかもしれません(笑)。

30台からのスタートとなりますが、人は満員近くまで集まりました。今はグループ全体の稼働台数を減らしていますが、5月頃までに何とか600台に戻したいと思っており、資金面での算段がついたという段階です。

――状況的にこれまでと同じ経営方針では成長を続けるのは難しい側面もあるかと思います。

以前は、例えば5万円と売り上げ目標を決めたら、何がなんでも5万円を達成する、というスタイルでした。

ところが、今はどれだけ頑張っても3万5000円しか売れない。今後もこの傾向は続く可能性もある。それなら、その金額からいかに収益を上げるか、という考え方に変わってきた。

構造改革を行わないと延命を続けるだけになる

具体的には営業所の人数や業務フローのオペレーションを最小限に減らし、超ローコストタクシー会社として収益モデルを変える。配車に関してもアプリでカバーできますし、削れる部分は残っている。最小限の人数で営業所を回して、小さな事業所をドミナントで増やしていく。

構造改革を行っていかないと、延命を続けるだけになってしまう。これは自社だけではなく、タクシー業界全体にいえることでしょう。

――今後のグループの展望は?

先ほど述べたようにドミナントで営業所を増やしていく予定ですが、エリアは東京と兵庫しか考えていません。

すでにコロナ禍で体力が持たないため売却を考える事業者さんは、水面下でかなりの数が出てきている。見方を変えれば人員獲得、事業拡大のチャンスでもあるわけです。

そして、ウチのようなベンチャーだと景気の回復傾向が見えてから動くのでは遅い。厳しい状況は続くでしょうが、何とか耐え忍び、攻めの姿勢は崩しません。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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