――現在のロイヤルリムジングループの運営状況は。
5~8月は目黒交通の数台を除けば、完全休業状態でした。交渉の末、ガスや諸経費などの各種支払いを待ってくれる業者がでてきて、再開の見通しが見えてきた。資金の援助もあり、昨年9月に台数、時間を限定しながら5社の営業を再開できました。
現在もグループ全体で東京5社、兵庫1社(ファイブスターを除く)が稼働しています。といっても、営業的には億単位の赤字が続いている。やればやるだけ赤字を垂れ流す状況で、夜は休業しています。最も効率的なのは全休業ですが、雇用調整助成金のおかげで何とか営業ができている。
――解雇者を含めた人に関しての動きはいかがでしょうか。
65歳以上の方に関しては90%以上が当社に戻って来ていただけました。グループ全体でいうと、600人の解雇の中から約200人が復帰しています。正直にいえば、ウチの厳しい状況のなかで、これだけの方が帰ってきていただけるとは予測していませんでした。その点は本当にありがたかったです。だからこそ絶対に復活して成功しないといけないし、責任がある。
戻ってきた従業員「もう二度とないですよね?」
――200人の戻ってきた乗務員の反応は?
「ああいうことはもう二度とないですよね?」いうのが、おおむね第一声でした。それだけご家族を含めて、不安を持たせてしまったということでしょう。これだけ帰ってきてくれる方がいなければ、無理をしてでも営業再開するエネルギーが沸かなかったかもしれません。
従業員の方との接し方をあらためて振り返ると、経営者として反省すべてき点が多かったと思います。
――反省すべき点とは。
私の行動や理念はすべて、「いかに経済合理性を突き詰めるか」という点に尽きるんです。ベンチャーで不動産営業の仕事を続けてきたことがあり、営業にしても経営にしても、「成績を残せない人間、金を稼げない人間は価値がない」という環境に身を置いてきた。
タクシー会社を始める際も、投資対象として捉えていたというのが正直なところです。タクシー業界では売り上げが上がる会社に人は集まるし、給与が高い会社に人に集まるだろう、とシンプルに捉えていた。だから、拡大、拡大で後ろを振り向かずに進んでこられた。
今回、組合や従業員と話し合いで罵声を浴びながらも、「彼らが何に怒っているのか」という本質的なことに気づけていなかったんです。失業保険をもらって転職や再就職するという選択が従業員にとって最善だと考え、数字を提示して、説明しましたが、まったく意見が噛み合わなかった。
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