「失業給付勧め、600人解雇」のタクシー会社の今 ロイヤルリムジン社長独占インタビュー

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コロナ禍で乗務員600人解雇した金子健作社長に今の状況を聞いた(筆者撮影)
2020年のタクシー業界において、最も大きく世間を騒がせたのはロイヤルリムジン社の600人解雇問題だろう。大量解雇という“劇薬”は当初英断と称されたが、時間を重ねるごとにほころびが目立ち、批判の声へと変わっていった。コロナ禍の中で全従業員約600人を解雇し、雇用保険の失業給付の受給を勧め、のちに再雇用を図るという手法は業界内に留まらず、その是非が問われる事態へと発展した。昨年の騒動時は、筆者も関係者を取材してその実情を伝えている(「タクシー会社『600人解雇騒動』が混迷続く実情」)
あれから約1年。ロイヤルリムジングループは5社が営業を再開し、3月には目黒交通葛飾営業所をスタートさせている。あのときいったい何が起きていたのか。グループ代表の金子健作氏が沈黙を破り、騒動後初となる独占インタビューに応じた。

選択肢が残されていなかった

――1年が経過した今、改めて600人解雇騒動を振り返ってみていかがでしょうか。

当時はやむをえずああいう形になりましたが、結果的に会社は何とか倒産を免れました。タイミングが少しでも遅れていたら、営業再開は叶わなかったと思います。奇跡的に今の状況がある、と。

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報道の中でも、「ほかに選択肢はなかったのか」と問われましたが、何度もシミュレーションし、さまざまな手を尽くしたうえでの経営判断でもあった。

2020年は東京五輪へ向けて、営業権、車、設備投資、銀座営業所の開設などに約7億円を投資し、勝負の年だと位置づけていた。それが新型コロナウイルスの影響で2月ごろから売り上げが激減し、乗務員さんの生活が貧窮していった。

そんな状況もあり、2月時点では希望者全員に緊急貸付金の10万円をお支払いしたんです。3月に入るとさらに急激に売り上げが落ちていく中で、資金が底をつくまでに追い込まれた。3月末に残っていた資金はわずか3600万円で、とてもじゃないですが来月以降、600人の給料を支払える状況ではありませんでした。決断したというより、正直これ(600人解雇)しか選択肢が残されていなかった。

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