資生堂、美容部員が奮い立つキャリアの“見える化”《ものすごい社員教育》
消費不況の中、化粧品業界には固定客を確保できる対面販売を再重視する動きが広がっている。百貨店や専門店でカウンセリング販売をする美容部員の能力を引き出すにはどうすべきか。
資生堂は、美容部員を「ビューティコンサルタント」と名付け、そのスキルアップに取り組んでいる真っ最中だ。
同社の美容部員は総勢1万人。社員の40%近くを占め、そのうち男性は約10人。女性中心の大所帯だ。
美容部員は全員、契約社員で社歴をスタート。入社3年以降に一定の成績で正社員登用試験を受けられ、その後もステップアップ可能だ。しかし、美容の技術を生かせるポストや管理能力を養う機会の少なさなど、環境整備が遅れていた。
そこで昨年10月から、美容部員を含む全美容職を対象にキャリア支援プログラムを本格始動。管理職、専門職という頂点の役職を設置し、キャリアアップの「見える化」を図った。美容部員にキャリア志向を醸成する仕組みは国内で初めてだ。
同プログラムでは、美容部員のトップとして、組織を率いる管理職と、美容技術を極めた“美のカリスマ”「高度美容専門職」を用意。どちらの職種で活躍したいかを申告し、働き方に反映できる。
会社側はキャリアアップを研修で支援。この研修を一手に引き受けるのが、2006年創設のバーチャル企業内大学「エコール資生堂」だ。社長が学部長、副社長が副学長を兼任。営業・マーケティング、生産など7学部と共通課程を傘下に全社員を育て上げる。科目には必修と選択があり、自分の目指す将来像に合わせて受講可能だ。