一方で、「大規模修繕」を行ったがゆえの事故も起きている。
東京都港区六本木で、2016年10月、マンションの大規模修繕工事現場で足場の鉄パイプが落下し、歩行者の男性が死亡している。皮肉にも、不測の事故を防ぐための工事で不測の事故を発生させてしまったのだ。
また、厚生労働省の『労働災害統計』によると、2019年度の鉄骨・鉄筋家屋の建築工事における「飛来・落下」の事故は232件あった。
これらの数字から単純にどちらが危険かといえる話ではないが、大規模修繕を「適時適切に」やる必要性は高まっている。
「適切」をいかに見出すかが重要
そもそも何のために大規模修繕をやっているかと言うと、共用部の劣化防止ということになる。防水や防錆などはやっておかないと快適な生活が脅かされる可能性がある。
過去の最高裁での判決では「外壁が剥落して通行人の上に落下」して通行人等が死傷した場合、落下した建物の所有者等が全面的に賠償責任を負うという判決が下った。
つまり、建物の外壁落下は所有者の責任で絶対に防ぐことが社会の要請となっている。
こうした事例を持ち出して、リスクを必要以上に声高に言い多額の支払いを決断させようとする修繕請負業者も存在する。しかし、あくまでも必要性に応じて、適切に管理することが重要なので、「適切」をどのように見出すかが最大のポイントとなる。
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