マンション「大規模修繕」を予算内に抑える方法 「建築費の高騰」や「居住者の高齢化」で実施に壁

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建築基準法12条点検という建物や設備の定期点検義務がある。これは法律で定められているので順守する必要があり、地方自治体への報告義務がある。

また、国土交通省は「長期修繕計画作成ガイドライン」で長期修繕計画の「標準例」を示している。

とはいえ、ガイドラインにもあるように、マンションにはさまざまな形態・形状・仕様等があるうえ、立地条件も異なっているため、一律で行う必要性などない。そもそも大規模修繕の12年という周期も、政府が縛りをつけているわけではなく、「12年以上でもガイドライン違反ではない」(国土交通省 住宅局市街地建築課マンション政策室)という。

信頼できる第三者を探そう

要するに必要性・緊急性で優先順位を決めて、その順番で進めていけばいい。その見極めが重要なので、まずは調査をし、専門家の第三者にチェックをしてもらってから進める対応を実施したほうがいい。管理会社、ゼネコン、コンサルなど立ち位置によって意見も異なるので、信用できる第三者を探そう。

コスト下げるなら、中小の下請けに直発注するなどの方法はある。瑕疵保険に入っていれば、たとえ問題が合っても大丈夫なので大手である必要はない。

こうした動きに積極的な提案をする管理会社も出てきている。耐久性のある共用設備に変えることで交換頻度を下げたりする提案は長期的なコスト削減につながっている。こうした提案能力の高い管理会社選びも必要な時代といえるだろう。

沖 有人 不動産コンサルタント

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おき ゆうじん / Yujin Oki

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクトを設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意とする。設立当初から運営する分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員数は30万人以上。『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。

 

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