前国連大使に聞く「SDGsを追い風にする思考法」

起業家の社会課題解決力を成長エンジンに

SDGsを企業の成長エンジンにするための方法とは?(左)前国連大使の星野俊也氏、(右)インクルージョン・ジャパンの服部結花代表(写真:児玉 二郎撮影)

「わが社もSDGsに関わる活動や事業を生み出さなければ」

こうした経営者の号令に、現場は明確な答えを出せずにいる。それがSDGs(持続可能な開発目標)を取り巻く現状ではないだろうか。

ビジネスの現場では、SDGsという言葉を聞かない日はないほど、その概念は浸透している。経営者同士の会話では、必ずと言ってもいいほどSDGsがテーマになる。その一方で、具体的に何から手を付けていいのかわかりにくい領域であることも理解に難しくない。

そこで、国連大使としてSDGsの世界的な啓蒙に尽力した星野俊也氏と、投資家でスキル・マーケット「ココナラ」などに出資経験がある、インクルージョン・ジャパンの服部結花代表にSDGsの本質を理解し、社会実装していくための思考法について話を聞いた。

SDGs「行動の10年」の主役は民間企業だ

星野:SDGsの概念が一般的になり、広く知れ渡るようになりました。2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは「持続可能な開発のための2030アジェンダ」であり、15年計画となります。そして、すでに1/3の、5年が経ってしまいました。いままでの5年が「啓蒙の5年」だとすると、これからの10年は、まさに「行動の10年」です。コロナ禍で後退を余儀なくされた分を取り戻すためにも、ペースを上げていく必要があります。

行動の10年の主役は、民間ビジネスになると思っています。民間の企業が提供する製品やサービスは、社会や生活の必需品です。SDGsに配慮した製品やサービスが充実すれば、国民1人ひとりが「SDGs生活」を送るための選択肢が生まれます。生活者が使う商品やサービスだけではなく、持続可能な社会や自然環境の実現に向けた事業を行うことも期待されます。

星野俊也(ほしの としや):2017年8月~2020年8月まで、国際連合日本政府代表部大使・次席常駐代表。現在は大阪大学大学院国際公共政策研究科教授。

よくポストコロナの「ニューノーマル」が語られますが、それこそ「SDGs生活」そのものであると、私は見ています。そして、私も、そうした民間の企業による「SDGsビジネス」を後押ししていきたいと考えています。

そのためには、企業には自分たちが持っているいいところを伸ばし、成長を推進するエンジンとして、SDGsを捉えてほしいですね。

古くから民間企業は、CSR(会社の社会的責任)やボランティアのような社会貢献活動を行ってきました。しかし、社会還元や自己犠牲の精神だけでは、継続可能性は低くなります。逆にいえば、収益が上がるからこそ、活動の継続可能性が高まるわけです。「収益を上げながら、社会をより良い方向に導いていく方法」と理解すれば、自社でできることが見えてくるのではないでしょうか。しかも、そこにはまだ見ぬ巨大なビジネスチャンスが潜んでいるかもしれません。

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