厚労省の「平成23年国民健康・栄養調査報告」によれば、1日の食物繊維の平均は13.7グラム。摂取目標は男性20グラム、女性18グラムとされているが、それよりはるかに少ない。
米国のケロッグ社の研究によれば、米国成人の食物繊維の1日摂取量を25グラムまで増やすと、年間の医療費を127億ドル節約できると報告されている。食物繊維の摂取量が少なく、腸内環境が乱れていると、身体へ悪影響を及ぼす恐れがあるのだ。腸の不調は、がんが潜むリスクも伴うからご用心。厚労省の「人口動態」によれば、大腸がんは女性のがん死因第1位、男性も肺がん、胃がんに次ぐ第3位となっている。
「野菜」イコール「食物繊維」ではない!
夏場の便秘や下痢を解消するには、食物繊維を意識して取ることが大切だ。しかし、それが意外にも難しい。ダイエットを意識している人は、積極的にサラダを食べるだろう。昼食や夕食に、グリーンサラダや野菜スティックなどを食べても、必要な食物繊維の量には到達できないことがある。
「野菜イコール食物繊維の量ではありません。1日25グラムの食物繊維を取る場合、レタスならば2~3個を丸ごと食べないとならないのです。また、食物繊維には、腸内細菌のいわゆる善玉菌のエサになる水溶性食物繊維と、便の硬さの調節などの役割を持つ不溶性食物繊維があり、どちらもバランスよく食べることが大切といえます」(小林院長)。
水様性食物繊維は、野菜、果物、海藻類などに多く含まれ、不溶性食物繊維は、根菜類、玄米、小麦のふすま、大豆などに多く含まれるという。玄米ご飯に、海藻類や野菜の入ったみそ汁、さらに、冷ややっこ、肉や魚を加えたメニューであれば、自然に食物繊維を多く取ることができるそうだ。
「世界的にも注目されている和食は、食物繊維の豊富なメニューが多い。便秘や下痢を繰り返す人は、和食を積極的に取り入れましょう。食物繊維は、腸内での糖質や脂肪分の吸収を抑制する働きもあるため、ダイエットにも効果的です。1日3食、和食というのが無理ならば、朝食には食物繊維の多く含むシリアルを活用してみてください。ヨーグルトと混ぜて食べると、善玉菌の働きを促し、腸内環境を整えることになります。シリアルは、外食へ出掛ける前に食べるのもおススメです。食物繊維によって脂肪などの吸収を抑えられるので、食べ過ぎの抑制につながります」(同)。
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