日本の代議制民主主義はアップデートが必要か

待鳥聡史さんが語る「政治家に求められる役割」

京都大学の待鳥聡史教授と議論を交わしました(撮影:倉科直弘 Naohiro Kurashina)
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グローバルの舞台で、かつてあったはずの輝きとプレゼンスが日本から失われているのはなぜなのか。そして、そこから脱却するためには何が必要なのか。
政府、企業、市民社会、専門家との連携を通じ、テクノロジーを最大限に活用して社会課題を解決するための必要なルールづくりと実証を推進する「世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター」。その初代センター長を務める須賀千鶴氏が、日本を代表する各界の知識人に真正面から問いかけて議論していく対談シリーズ第8回。

デジタルテクノロジーを活用することにより、市民の意見を直接的に収集することが可能になった現代社会で、代議制民主主義のメカニズムは決定に時間がかかりすぎると批判され、政治家や政党の役割も、もはや自明ではなくなっている。さまざまな問題や困難を抱える現代社会において、政治制度にはどのようなアップデートが必要になるのか。今こそ見直しが議論される代議制民主主義の価値とは何なのか。京都大学の待鳥聡史教授と議論を交わした。

「失われた30年」は本当だったのか?

須賀 千鶴(以下、須賀):本日はよろしくお願いします。待鳥さんの著書『政治改革再考 変貌を遂げた国家の軌跡』を大変興味深く、拝読しました。1990年代に行われた政治改革を憲法改正に匹敵する一大事業と位置付けられ、そのような改革を当時の日本が内発的に起こしたということに対して、結果はどうであれ、非常に意味のあったことだと定義されていらっしゃることには、私自身とても勇気をいただきました。1990年代以降の日本は「失われた30年」とも言われますが、前向きなこともあったはずですよね。

待鳥 聡史(以下、待鳥):ありがとうございます。過去30年の評価について、多くの人は「失われた30年」だったと振り返られていますが、本当にネガティブなことしかなかったのかというと、そうではないだろうという違和感もありました。

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確かに経済的なパフォーマンスはよくありませんでしたが、だからといって、何もかも失敗だったというのは間違いだと思います。1990年代からの30年の間に、ポジティブなこともたくさんあったはずです。1990年代以降の時代の空気を吸ってきた者として、まずそれらをきちんと記録にとどめること、同時にこれまで語られていたこととは別の体系的な説明を与えることが必要だと感じていました。かといって、日本人はすごいんだ、とかそういった論調にならないように説明していくことも意識しました。

須賀:確かに1990年代初頭は、新しい時代が始まるというポジティブな雰囲気に包まれていたと聞きますが、その時代の空気感や記憶を、後付けで消してしまっているかもしれませんね。ポジティブにもネガティブにもなりすぎずに、中立的に時代を記録していくことの重要性を感じます。待鳥さんは、現在のコロナウイルスのパンデミックに対してはどのように向き合っていらっしゃいますか?

待鳥:パンデミックが発生してからほぼ1年が経ちますが、各国でより分断が広がっているように感じます。何より経済的な格差のさらなる広がりが目立ちますが、ワクチンに対して肯定する人と否定する人のような、さまざまな分断線が国内に引かれています。そして、そのような分断がより顕在化しているのは、民主主義体制の国家であることも特徴として言えるでしょう。民主主義における分断の問題は、政治学者が考えねばならない大きな課題になっていると思っています。

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