コロナで追い風「ゴルフに若者急増」が映す課題 人気を定着させていくためにすべきことは?

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プレーも「すべて打っていくのではなく、アプローチとパッティングだけやるとか、進行が遅くならなければ、自由にプレーしていい」(坂巻氏)というから、プレデビューにはいいだろう。

コロナ禍で体を動かしたい若い世代が「ゴルフを始めたい」と、来場するケースが増えているという。マナーなどの問題もあって「初心者に近い方も多くて、うれしいような、困っているような感じですが、まずはゴルフ場を体験してほしい」と坂巻氏はいう。

先述したとおり、想像力が少しあれば、常識の範囲内でマナーは守れる。ただ、専門的なことは気づかない点も多いので、今後は具体例を出して「啓蒙」を進めることが、必要になってくる。ゴルフ場にとっても、初心者にとっても、ベテランにとっても、無用な摩擦や嫌な思いを防ぎたい。

初心者がいないとプレーできない企画を展開する東我孫子CC(写真提供:東我孫子CC)

ゴルフ場は初心者に良さを知ってもらう企画を

コロナ禍で、ゴルフ場の利用者数は回復の兆しを見せている。経済産業省が発表した「特定サービス産業動態調査」の2020年11月分確定データによると、第1回緊急事態宣言下の4月に売り上げが前年同月比50.9%と半減し、5月54.0%、6月65.9%と落ち込んだ。

しかし、7月以降回復して、8月は100%に。その後、9月86.1%、10月93.9%、11月95.8%と前年を下回ったが、12月は100.5%となった。

感染リスクが低いという認識が広まるにつれて、従来のゴルファーが戻り始めた。中には、コロナ禍でゴルフを始めた人が、すでにコースデビューしているかもしれない。2回目の緊急事態宣言下での動態はまだわからないが、ゴルフ場での感染対策が徹底されてきているので、1回目ほどの落ち込みはないと思われる。

これから春のゴルフシーズンが到来する。初心者にオープンエアで芝の感触を味わいながら、ゴルフの良さを知ってもらう企画は、今後多くのゴルフ場で進めるべき方向だ。「何も持っていない」「何もわからない」を、ゴルフ場でサポートすることが、ゴルフに入ろうとしている人たちをつなぎとめる。

筆者もコロナ禍でゴルフを始めた姪を、どうデビューさせようかを考えているところだ。ゴルフの出来はともかく、少なくとも楽しいと思える体験にしたい。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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