コレステロールに一喜一憂しても意味がない訳

大事なのは今後10年間の病気のリスクを知る事

しかし、100人に1人の病気の場合は、リスクが2倍になっても50人に1人と、前者ほど差し迫った感じではなくなります。1万人に1人の比較的まれな病気の場合には、「リスクが2倍」になっても、五千人に1人がかかる程度です。「リスクが○倍」という情報だけに振り回されないようにしたいものです。

また、一概に「コレステロール値が高い」と言っても、じつはリスクは人によって異なっています。健康診断の結果を受け取ると、数値だけを見て「正常値より高くなった」「下がった」と一喜一憂しがちです。ですが、重要なのは、「数値が正常かどうか」ではなく、「死亡のリスクが高いのか」「高いとすれば、そのリスクはどの程度のものか」を理解することでしょう。

実際に「今後10年間で、心筋梗塞などの病気のリスクがどれくらいあるのか」ということを考慮して、治療すべきかどうかを決める計算式もあります。

適切なコレステロール値は「人それぞれ」

コレステロール値が同じように高い人でも、糖尿病があるかどうかでリスクは変わります。性別(女性は男性よりもなりにくい)や年齢、心筋梗塞などの家族歴でも変わります。喫煙しているかどうかでもかなり変わってきます。

たとえば、悪玉コレステロール値が170の人でも、60歳男性、喫煙者で高血圧のある人と、40歳の女性で、喫煙歴がなく、他に病気もない人では、リスクがまったく違います。他に病気がなく血縁者に心筋梗塞にかかった人がいない40歳女性では、悪玉コレステロール値が少しばかり高くても、今後10年間で心筋梗塞などの病気になる確率は1%にも満たないでしょう。もちろん、それでも気をつけるに越したことはありませんが、数値だけで一律に判断しないようにしたほうがいいのは、そのためです。

一時期、コレステロール値が高いほうが死亡率が少ないのでないかということが議論になりました。コレステロールは、心筋梗塞などのリスク因子として「悪者」の観点から語られがちですが、栄養状態を反映するものでもあります。つまり、栄養状態が悪かったり肝臓が悪かったりするとコレステロール値も低くなります。

「コレステロール値が低いことよって死亡が増えた」のか、「栄養状態が悪い原因が他にあり、それによってコレステロール値が低かった」のか、原因と結果がはっきりわからない研究も多いのが実情です。また、日本人は、脳出血が欧米人に比べると多い傾向があります。コレステロール値が低いことは脳出血にはリスクと言われており、低すぎる場合は注意が必要です(※4)。

血液中のコレステロール値を上げると考えられており、どれくらい食べるか悩ましいものに、鶏卵があります。

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