コレステロールに一喜一憂しても意味がない訳

大事なのは今後10年間の病気のリスクを知る事

「毎日、卵を食べる生活」は本当に体に悪いのでしょうか?(写真:TAKA/PIXTA)
「毎日、卵を食べる生活」は本当に体に悪いのでしょうか? コレステロールが体に与える影響をエビデンスをもとに綴った、医師で医療ジャーナリストの松村むつみ氏による新書『「エビデンス」の落とし穴』より一部抜粋・再構成してお届けします。

コレステロールに関しては、これまで異常とされる数値が変更されることがあり、混乱を招いてきました。そのせいもあって、世間では、高いと危険だ、あるいは、高くても問題ないなど、一般の健康書などでは諸説飛び交う状況になっています。

現在、人間ドック学会の悪玉(LDL)コレステロールの数値基準では、120〜139(mg/dl。以下省略)を軽度異常、140〜179を要経過観察、59以下と180以上を要治療としています。また、日本動脈硬化学会では、120〜139を境界域高LDLコレステロール血症、140以上を高LDLコレステロール血症と定義しています。

一方、アメリカ心臓協会・心臓病学会では、悪玉コレステロール190以上は、他のリスクに関わりなく薬物治療の適応ですが、70〜189では、糖尿病のない40歳から75歳の人では、「今後10年間で、心筋梗塞などの病気になる確率がどれくらいあるか」という、個々人のリスクを計算して、それをもとに治療を決めるのがよいとしています(※1)。

心筋梗塞の多いアメリカなど欧米人と(例外的にフランス人は少ないです)、日本人を同列に語って悪玉コレステロールのリスクを評価することには議論があります。生活習慣や遺伝的な違いなど、複雑な要因が絡んでくるからです。

そもそも日本は「心筋梗塞が少ない国」

日本は、WHOなどのデータをみても、世界で心筋梗塞がもっとも少ない国のひとつです。その日本人でも、悪玉コレステロールは心筋梗塞のリスクを上げ、コレステロールを下げる薬は死亡のリスクを下げるのではないかと言われています(※2、※3)。

しかし、同じように「死亡リスクが2倍になります」「この薬は死亡リスクを50%下げます」と言っても、「病気になりやすさ」に違いがある場合、「どこまで積極的に治療したらいいのか」という判断は変わってくるでしょう。たとえば、もともと5人に1人がかかる病気の場合、「リスクが2倍になる」というと、5人に2人がかかることになり、その病気が一気に身近になります。

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