零細企業ほどコロナで痛めつけられている惨状 大企業向けの需要喚起でなく直接支援が必要だ

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ところが、宿泊業や飲食サービス業においても、大企業では人員は増えている(大企業では、前記の期間に、宿泊業と飲食サービス業で、22.1万人から22.2万人に増加)。

支援策は、人員が激減している零細企業に集中するのが望ましい。

そうした考えからすれば、GoToキャンペーンの予算を停止して、直接の支援策に切り替えることを優先せねばならないだろう。

まずは金融措置が必要だ。零細企業は、大企業と違って資金調達能力が乏しく、十分な資金を確保していないと考えられるからだ。

ただし、上述のように、宿泊業や飲食サービス業などの零細企業では、単なる資金繰りの問題ではなく、企業の存続に関わる問題が生じている。企業の維持を可能にするために、さらに踏み込んだ対策が必要だろう。

この部門の1企業1カ月あたりの営業利益は、2020年7~9月期で約184万円の赤字となっているので、これを補填するような政策が必要かもしれない。

業種を絞らず、個人への支援も必要

赤字の全額を補填するとすれば、必要な金額は、4半期で約1100億円、年間で約4400億円だ。

なお、企業の存続を援助するための対象は、宿泊業や飲食サービス業のような零細対人サービス業に限定するのではなく、あらゆる業種に対して行うのが妥当だ。法人企業だけでなく、個人事業やフリーランサーも対象にしたほうがいいだろう。

もうしばらくすれば、3月期決算の企業も含め、2020年の所得が税務申告で正確に把握できる。持続化給付金のように売上高の自己申告のような指標を基準にするのでなく、所得を基準として支援を行っていくのが望ましい。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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